丸紅、米ラインビジョンに出資し戦略的パートナーシップを締結

(米国、日本、カナダ)

ヒューストン発

2022年10月06日

丸紅は10月5日、脱炭素社会実現に向けた電力インフラの課題を解決するサービス拡充を目的として、送電線の監視・解析技術を提供する米国ラインビジョン(本社:マサチューセッツ州ボストン)のシリーズCラウンド(注)に出資し、日本および海外におけるラインビジョンの事業拡大に向けて、戦略的パートナーシップを構築する覚書を締結したと発表した。

ラインビジョンは、送電線および周囲の気象の情報を基に、リアルタイムで送電可能容量を導き出すダイナミックレーティングと呼ばれる技術により、既存送電線の容量を拡大するソリューションを提供している。独自の非接触型センサーを用いることで、送電線に触れることなく導入可能なラインビジョンの送電線監視・解析ソリューションは、機器取り付け時の送電停止が不要で、迅速かつ安全に設置できることが特徴だ。

丸紅は、子会社である三峰川電力が保有する送電線での1年間の実証を通じて、ラインビジョンの技術を適用し、送電容量拡大が日本でも有効であることを確認した。また、2021年8月にラインビジョンと日本国内における独占販売代理店契約を締結しており、国内の送電系統における実証実験への参画など、電力インフラ事業拡大を目指す方針だ。

丸紅は、「中期経営戦略 2022-2024年度」においてグリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針の1つに位置付け、「再エネ導入拡大に寄与する送電系統の運用高度化技術の展開」をグリーン事業と分類している。

丸紅は、脱炭素化に向けた取り組みを進めており、2022年8月にデジタル技術の活用で船舶の二酸化炭素(CO2)削減を目指すコンソーシアム参画を発表した(2022年8月5日記事参照)。9月には、脱炭素社会の実現に資する非鉄金属資源の安定供給に向け、カナダのヴァルハラの株式取得で合意した(2022年9月28日記事参照)。

(注)スタートアップの成長段階で、黒字化し経営が安定し始めた段階。

(沖本憲司)

(米国、日本、カナダ)

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