丸紅、バイオ燃料によるエチレン船の試験航海実施

(米国、日本、英国、ドイツ、オランダ、カナダ)

ヒューストン発

2022年10月14日

丸紅は10月12日、ドイツの海運会社ガスケム・サービシズ(本社:ハンブルク)から長期用船するエチレン船「ガスケム・ドラート」で、世界初となる環境負荷の低いバイオ燃料を使った試験運航をオランダ・フリシンゲンから米国・テキサス州モーガンズポイント間で実施したと発表した。

発表によると、今回使用したバイオ燃料は、オランダ・フリシンゲンにおいて、英国の石油ガス大手BPの子会社であるBPヨーロッパが、低硫黄重油にISCC Standard(注)の認証を受けた、バイオディーゼル燃料の一種で廃食用油および再生可能な油資源を由来とする脂肪酸メチルエステル(FAME)を25%混合したものとなっている。

試験運航は、バイオ燃料の燃焼性や安定性といった技術的課題の有無を把握する目的で実施された。バイオ燃料は、従来の燃料と性質が類似しており、船に改造を加えることなく利用できるため即効性が高く、輸送過程の温室効果ガス(GHG)排出量削減が期待できるという。

丸紅は、エチレン取扱量が世界トップクラスとされている。同社は、今後も低炭素化・脱炭素化に取り組む顧客のニーズに応じ、さまざまな環境負荷低減に資する持続可能性の高いサービスを提供する方針だとしている。

丸紅は、脱炭素化に向けた取り組みを進めており、2022年8月にデジタル技術の活用で船舶の二酸化炭素(CO2)削減を目指すコンソーシアム参画を発表した(2022年8月5日記事参照)。9月には、脱炭素社会の実現に資する非鉄金属資源の安定供給に向け、カナダのヴァルハラの株式取得で合意した(2022年9月28日記事参照)。10月には、脱炭素社会実現に資する電力インフラの課題解決に向け、米ラインビジョンに出資し戦略的パートナーシップを締結した(2022年10月6日記事参照)。

(注)International Sustainability & Carbon Certification(国際持続可能性カーボン認証)を指し、バイオマス、バイオエネルギーの認証制度。廃棄物原料の生成から加工、輸送、最終製品輸送までのサプライチェーン全体への認証が必要とされる。

(沖本憲司)

(米国、日本、英国、ドイツ、オランダ、カナダ)

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