英国とEU、北アイルランド議定書に関し声明発表、通関システムに進展

(英国、EU、アイルランド)

ロンドン発

2023年01月10日

英国のジェームズ・クレバリー外務・英連邦・開発相とクリス・ヒートン・ハリス・北アイルランド担当相、欧州委員会のマレシュ・シェフチョビチ副委員長(EU機構関係・将来予測担当)は1月9日、ロンドンで会談し、アイルランド・北アイルランド議定書に関して議論を行った。会談後に発表した共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、EU側が求めていた英国の通関ITシステムへのアクセス(2021年10月18日記事参照)について合意したとした。両者はこの合意について、信頼構築と安心供与にとって重要な前提条件になるとしたほか、議論の新たな基礎になると評価。クレバリー氏も会談後、自身のツイッターで進展を前向きな一歩とあらためてコメントした。

さらに、声明では今回の議論を踏まえ、その他の分野も解決策の特定に向けて、担当者間で迅速に取り組むとしたほか、1月16日には3人で進展について整理を行うとした。

同日にはアイルランドのミホール・マーティン副首相兼外務・防衛相と、北アイルランドの親英派の民主統一党(DUP)のジェフリー・ドナルドソン党首の電話会談も行われた。会談後の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでドナルドソン党首は、議定書の取り決めに関する交渉を通じて、国内市場での北アイルランドの地位を回復する機会を得ていると述べた。

北アイルランドでは2022年5月の議会選以降、議定書の内容に不満を示すDUPが閣僚任命に協力しない姿勢を見せており、自治政府が発足していなかった。発足の期限となっていた2022年10月27日を過ぎた段階で、ヒートン・ハリス氏が議会選を行うことを発表していた(2022年10月31日記事参照)。しかしその後、選挙実施による影響やコストへの懸念から、発足期限の延長のための法案を議会に提出、成立させており、1月19日が現在の発足期限となっている。

(山田恭之)

(英国、EU、アイルランド)

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