香港出願人が中国本土で特許の優先審査を申請するためのパイロットプロジェクト、2023年から実施

(香港、中国)

香港発

2023年01月05日

中国国家知識産権局(CNIPA)は12月23日、香港特別行政区の特許出願人を対象とした中国本土での優先審査のパイロットプロジェクトを2023年1月1日から開始すると発表した(注1)。

優先審査とは、「専利優先審査管理弁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に基づき、専利(特許、実用新案、意匠の総称)を対象に、所定の条件(注2)に該当する場合に限り、迅速な審査を受けられる制度だ。

同パイロットプロジェクトは、専利のうち特許のみを対象としており、香港の永住者や、香港の「会社条例外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に基づいて設立された企業、その他の法人または組織がCNIPAの広州代理事務所(注3)および深セン代理事務所(注4)を通じて優先審査の申請をすることが可能。

中国国務院が2021年10月に公表した「『第14次5カ年(2021~2025年)規画』国家知的財産権保護および運用規画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、香港の知的財産取引センターとしての発展を支持する方針を示した。香港政府の李家超(ジョン・リー)行政長官は2022年10月19日に行った施政報告(施政方針演説、2022年11月1日記事参照)で、同発展に向けた取り組みの1つとして、同パイロットプロジェクトの実施を掲げていた。

また、2022年12月1~2日に開催されたIPビジネス・アジアフォーラムで、CNIPAの申長雨局長はパイロットプロジェクトの開始について言及した(2022年12月5日記事参照)。これに対し、香港知識産権局(HKIPD)の黄福来局長は歓迎の意を示すとともに、CNIPAによって取り決めの詳細が公布され次第、このパイロットプロジェクトの詳細を提供する予定だと明らかにしていた(注5)。

(注1)発表内容の詳細はCNIPAのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)所定の条件とは、(1)省エネ環境保護、次世代情報技術、バイオ、ハイエンド設備製造、新エネルギー、新素材、新エネルギー自動車、スマート製造などの国家重点発展産業である場合、(2)地方政府などの重点奨励産業である場合、(3)インターネット、ビックデータ、クラウドコンピューティングなどの分野で更新が速い技術や製品である場合、(4)専利出願人などにより実施する準備ができているか、既に実施している、または、発明が他人によって実施されている証拠がある場合、(5)同一の主題について初めに中国に出願した後、他の国・地域にも出願した場合、(6)その他、国益または公益上重要であり優先審査が必要と認められた出願である場合を指す。ただし、このパイロットプロジェクトに適用される条件は上記(1)と(3)のみ。詳細は(注1)の参考資料「香港申請人による中国本土での発明専利優先審査申請ガイドワードファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を参照。

(注3)広東省市場監督管理局に設立された専利業務の派遣機関。詳細はCNIPAのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注4)深セン市知的財産局に設立された専利業務の派遣機関。詳細はCNIPAのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注5)発表内容の詳細はHKIPDのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(島田英昭)

(香港、中国)

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