香港でIPビジネス・アジアフォーラム開催、知財権保護の環境整備の推進を強調

(香港)

香港発

2022年12月05日

IPビジネス・アジアフォーラムが12月1~2日に、香港特別行政区(以下、香港)政府と香港貿易発展局(HKTDC)、香港デザインセンターの共催により、オンラインとオフラインのハイブリット形式で開催された(2日はオンラインのみ)。

本フォーラムには、12カ国・地域から約50人の著名な講演者が参加した。オープニングセッションにおいては、香港政府の李家超(ジョン・リー)行政長官、中国国家知識産権局(CNIPA)の申長雨局長、世界知的所有権機関(WIPO)のダレン・タン事務局長によるスピーチがなされた。

李行政長官は、10月19日に行った施政報告(施政方針演説)(2022年11月1日記事参照)における知的財産に関する内容について紹介。具体的には、国際商標登録制度の導入に向けた準備や(2020年6月24日記事参照)、デジタル環境における著作権保護の強化(2022年9月29日付地域・分析レポート参照)、意匠登録制度の見直しなどについて言及した。知的財産権保護の環境整備に注力していく方針をあらためて強調した。

申局長は、中国国務院が2021年10月に公表した「『第14次5カ年(2021~2025年)規画』国家知的財産権保護および運用規画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に基づき、香港の知的財産取引センターとしての発展を今後も支援していく旨を強調した。また、申局長は、中国本土での特許(発明専利)出願に関するパイロットプロジェクトを2023年1月から新たに実施すると明らかにした。本プロジェクトでは、香港の出願人が中国本土で特許出願を行う際、条件を満たす場合には優先的に審査を受けることが可能となる。

タン事務局長は、香港の西と東をつなぐ(中国と世界を結ぶ)結節点としての役割に期待している旨を表明。また、WIPO発表のグローバル・イノベーション・インデックス(GII)(2022年10月6日記事参照)について触れ、香港を含むアジア地域がイノベーションの促進に重要な役割を果たしていることや、広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)における知財金融の重要性などについて説明した。

なお、本フォーラムでは、新たに「イノベーション&IPマーケット」が併催され、企業や大学などの知的財産所有者が自らのイノベーションやテクノロジーを展示や紹介する場が設けられた。

(島田英昭)

(香港)

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