ショルツ首相、自動車・モビリティ産業の構造転換に関する会議を初開催

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年01月17日

ドイツのオラフ・ショルツ首相は110日、「自動車・モビリティ産業の構造転換に関する戦略プラットフォーム」会議第1を主宰外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

本プラットフォームの主な目的は、(1)交通部門の気候中立をいかに達成するか、(2)自動車産業の付加価値と雇用をいかに国内で維持するか、について話し合うことだ。ショルツ首相に加えて、連邦政府からは、ロベルト・ハーベック経済・気候保護相、クリスティアン・リントナー財務相、フーベルトゥス・ハイル労働・社会相、フォルカー・ビシング・デジタル・交通相、シュテフィ・レムケ環境・自然保護・原子力安全・消費者保護相が出席した。

会議にはこのほか、自動車・モビリティ産業、労働組合など労働者代表、大学・研究機関、州政府・市町村、エネルギー関連などの各種団体の関係者が参加した。民間企業からはフォルクスワーゲン、BMW、メルセデス・ベンツなどが参加し、その他、経済・気候保護省主導で20226月に発足した「自動車産業構造転換」専門家委員会(2022年10月25日記事参照)、デジタル・交通省主導で20227月に発足した「モビリティ分野における気候保護」審議会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます関係者も出席した(「ハンデルスブラット」紙110日)。

連邦政府の発表によると、第1回会議のテーマは、(1)気候・環境保護、(2)自動車のデジタル化、(3)コネクッテド・モビリティ、(4)サプライチェーンの強靭(きょうじん)化、が中心となった。会議の参加者は、気候保護法における交通部門の気候中立目標(2021年7月6日記事参照)達成のため、電気自動車(EV)導入をさらに進めることが必要という点で一致するとともに、2030年までに最低1,500万台のバッテリー式電気自動車(BEV)を国内で普及させるとした連邦政府目標を確認した。

また、会議では、202210月に連邦政府が充電インフラ拡充に向けた新計画を閣議決定(2022年11月1日記事参照)したところではあるが、商用車向けの充電インフラ拡充は強力に進めることが必要という点で一致したほか、乗用車用ソフトウエアや自動運転分野で、国内自動車産業の競争力を高めることが必要という点でも合意した。さらには、サプライチェーンやバリューチェーンをさらに強靭化する必要があり、特に原材料の調達、蓄電池セルや半導体生産などについて、緊密な協議を進めることになった。

アンゲラ・メルケル前首相は2021年まで6回にわたり、政府と経済界、研究機関・大学などの関係者らと「協同アクション・モビリティー」会議(自動車会議)を開催していた(2021年8月23日記事参照)。連邦政府は、今回の「自動車・モビリティ産業の構造転換に関する戦略プラットフォーム」会議は今後も定期的に開催するとし、会議への参加者はテーマに合わせて決めるとしている。

(高塚一)

(ドイツ)

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