連邦政府、充電インフラ拡充に向けた新計画を閣議決定

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年11月01日

ドイツ連邦政府は10月19日、電動車向け充電インフラ拡充を目指す「充電インフラ・マスタープランII」を閣議決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同計画は、アンゲラ・メルケル前政権が2019年に閣議決定した「充電インフラ・マスタープラン」を更新したもの。2021年12月に発足したオラフ・ショルツ政権は連立協定書で充電インフラについて「2030年までに公共充電器100万基設置」を目標に掲げ、そのために「充電インフラ・マスタープラン」を見直すとしていた(2022年9月6日記事参照)。

連邦政府はマスタープランII外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの実行を通じ、(1)充電インフラの設置と運営をより迅速、かつ、複雑な手続きなく容易に行えるようにする、(2)充電インフラビジネスの魅力を高め、民間企業による投資を促すことを目指す。マスタープランIIには68の具体策を記載し、特に以下の5つの課題に重点を置いた:(1)充電インフラと電気系統システムの統合、(2)充電インフラのデジタル化、関連データの収集と活用、(3)手続き・許認可などの窓口となる地方自治体への支援、(4)電動トラック向け充電インフラの拡充、(5)充電インフラ設置時の手続き・許認可などの簡略化。

ドイツ自動車産業連合会(VDA)は10月19日、閣議決定を受けて記者発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをし、「マスタープランIIには多くの重要で有効な施策が含まれており、充電インフラ拡充加速の基礎となる」と評価した。特に「(1)充電インフラと電気系統システムの統合」では、再生可能エネルギーの最適活用、系統内の電気安定のため、系統と充電インフラにつながれた電動車が電気を双方向で融通することで、電動車が「調整弁」になり得るとし、法的整備などを加速させるべきとした。「(4)電動トラック向け充電インフラの拡充」については、運輸部門の二酸化炭素(CO2)排出量削減のためには、マスタープランIIに記載した施策の実施に加え、さらなる措置が必要とした。連邦デジタル・交通省は2021年に実施した助成プログラムで、トラック用充電器1,481基(うち333基は100キロワット超の急速充電器)の設置を助成外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

連邦ネットワーク庁によると、9月1日時点で国内で稼働している公共充電器は6万8,275基、うち急速充電器は16.2%の1万1,044基。連邦デジタル・交通省などによるウェブサイトでは、国内の公共充電器の場所や種類が地図で示されており外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、随時更新されている。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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