メルケル首相主宰の自動車会議、地方の自動車関連中小企業を支援するファンドを具体化

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年08月23日

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は8月18日、政府と経済界、研究機関・大学などの関係者らと「協同アクション・モビリティー」第6回会議(自動車会議)を開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本会議は連立与党が2019年3月に開催を決定したもので、自動車産業が直面する課題克服のための政策と持続的戦略を策定することが目的。メルケル首相は2021年9月26日の連邦議会選挙(総選挙)後の引退を明言しているため、今回の出席が最後となる。

連邦政府によると、第6回会議では、欧州委員会が7月に発表した温室効果ガス55%削減目標達成のための政策パッケージ「Fit for 55」(2021年7月15日記事参照)に関する議論と、これまでの自動車会議の総括がされた。「Fit for 55」について、会議では、気候保護が将来の経済的成功の前提条件となる点で一致した。その上で、気候に関する野心的目標を達成すると同時に、自動車産業の付加価値創造と雇用維持が議論された。

今回の会議で決まった具体的な政策は、これまでの会議で提案されていた10億ユーロ規模の「自動車産業未来ファンド」だ(2021年4月7日記事参照)。今回、ファンドの具体化に向けた専門委員会からの答申外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますがあり、今後は連邦経済・エネルギー省が関連省庁と協力して実際のプロジェクト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを進めていく。

同ファンドの実施期間は2021年から2025年までで、自動車産業の構造転換に直面する地方の中小企業を特に支援する。支援分野は(1)地域における相互協力、(2)デジタル化、(3)生産技術。「地域における相互協力」は総額3億4,000万ユーロで、各地域の自動車関連クラスター・企業・研究機関などが協力して行う、自動車の構造転換に対応するための戦略策定・実行を助成する。「デジタル化」は総額3億4,000万ユーロで、特に車載OS、ソフトウェア・システムエンジニアリング、デジタルツイン(注)などに重点が置かれる。「生産技術」は総額3億2,000万ユーロで、車両のリサイクルなどの循環経済、中小企業の電気自動車・燃料電池関連部品の生産能力向上などが助成される。

専門委員会の共同議長を務めたハインリッヒ・ハイネ大学のイェンス・ズーデクム教授は、ドイツ経済紙「ハンデルスブラット」(2021年8月18日)に対して、ドイツには約70の自動車関連クラスターがあり、うち20から30のクラスターが潜在的課題を抱えているとした。こういったクラスターには、内燃機関技術に特化した中小企業が多く存在し、将来に向けた戦略を描けていないという。

(注)コンピュータ上のデジタル空間で、自動車車両の設計や開発などをシミュレーションして行うこと(2020年10月6日記事参照)。

(高塚一)

(ドイツ)

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