米プラグパワー、カナダのTCエナジーから水素液化装置の受注を発表

(米国、カナダ)

ヒューストン発

2023年01月12日

米国の燃料電池システム開発のプラグパワー(本社:ニューヨーク州レーサム)は1月10日、カナダのエネルギー輸送大手のTCエナジー(本社:アルバータ州カルガリー)から日量30トンの水素液化装置2基を受注したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。液化装置は、2024年第2~3四半期(4~9月)に納入予定で、北米の今後稼働予定のTCエナジーの施設で活用される。

水素は利用時に二酸化炭素(CO2)を排出しないエネルギーとして、脱炭素化に向けた世界的な利用拡大が期待されている。一方で、水素は地球上で最も軽い(密度の小さい)気体であることから、その利用拡大および調達・供給コスト低減に向けては、国内外で効率的な水素の輸送・貯蔵を可能とするエネルギーサプライチェーン構築に向けた取り組みが進められており、現在、圧縮水素、液化水素、メチルシクロヘキサン(MCH)、アンモニアなどの水素キャリア(輸送媒体)が採用されている。プラグパワーが採用する液化水素は、気体水素に比べて体積が約800分の1となり、効率的な水素の輸送が可能になることに加え、気化することで純度の高い水素の取り出しが可能になるなどの特徴を持つ。同社は、今回TCエナジーに納入するものと同様の液化装置を、テキサス州やカリフォルニア州などの同社グリーン水素(注)製造プラントで活用している。

プラグパワーのアンディ・マーシュ最高経営責任者(CEO)は「当社は、信頼性の高い水素液化装置の製造におけるグローバルリーダーとして、水素バリューチェーンの各段階において、顧客のために資本効率と運用効率の最適化に注力している」「われわれは、TCエナジーの持続可能で安全なエネルギー供給へのコミットメントに共感し、ともに水素市場の成長を加速できることを楽しみにしている」と述べた。

なお、プラグパワーは、2022年9月にフランスのライフと世界初の洋上風力発電施設でのグリーン水素製造を発表(2022年9月27日記事参照)したほか、10月には米国のオーリンとルイジアナ州にグリーン水素製造施設の建設に向けた合弁会社の設立(2022年10月21日記事参照)、食品物流施設のフォークリフト用に燃料電池とグリーン水素供給設備の提供(2022年10月21日記事参照)を発表した。12月には米国の二コラとグリーン水素供給契約の締結(2022年12月16日記事参照)を発表している。

(注)水素はその製造方法によって、(1)化石燃料を燃焼させたガスを改質することで製造する「グレー水素」、(2)グレー水素製造工程で排出された二酸化炭素(CO2)を回収し貯留または利用(CCS、CCUS)することでCO2排出を抑える「ブルー水素」、(3)再生可能エネルギーを利用して水を電気分解することで製造し、製造工程でCO2を発生させない「グリーン水素」などに分かれる。

(沖本憲司)

(米国、カナダ)

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