2022年1~9月の製造業における外国投資認可額は反動減で前年同期比45.3%減

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年01月04日

ジェトロが1221日にマレーシア投資開発庁(MIDA)から入手したデータによると、202219月のマレーシアの製造業における外国投資認可額は、前年同期比45.3%減の5019,214万リンギ(約15,058億円、1リンギ=約30円)だった。前年に大型投資案件〔中国の東方日昇による太陽電池・モジュール製造拠点の設立(422億リンギ相当)、2021年10月1日記事参照〕があったことによる反動減が、第3四半期に入っても影響した。

業種別にみると、全体の4割強を占める電気・電子製品が前年同期比66.0%減の2137,444万リンギと大幅に減少し、総額を押し下げた(添付資料表1参照)。他方、輸送機器が前年同期比35.2倍の656,606万リンギ、石油製品が537,757万リンギ(前年は実績なし)、非金属鉱物が45.0倍の502,038万リンギ、科学・計測機器が70.2%増の345,775万リンギと続いた。

国・地域別では、ドイツが前年同期比39.9倍の854,973万リンギ(11件)で首位だった(添付資料表2参照)。同国からの大型案件として、半導体大手インフィニオン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによる拡張案件(2022年6月29日記事参照)が、同国の投資総額の9割強を占めたとみられる。次いで、韓国が1.46%減の624,003万リンギ(2件)で2位に浮上した。大手電機メーカーサムスンSDI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます7月に発表した、ネグリ・センビラン州でのバッテリー生産施設拡張(60億リンギ相当)が、代表的な投資案件として挙げられる。3位はオランダで、59.7%増の592,588万リンギ(9件)が投資されたが、具体的な投資案件は公開されていない。

日本による製造業投資認可額は、前年同期比33.5%減の415,162万リンギ(21件)だった。内訳をみると、非金属鉱物が229,700万リンギ(2件、前年は実績なし)で首位だった。次いで、電気・電子製品が10172万リンギ(6件、前年同期比76.2%減)、機械装置が65,672万リンギ(7件、前年は実績なし)、紙・印刷・出版が15,000万リンギ(前年同期比20.6倍)、化学・同製品が2,373万リンギ(3件、前年は実績なし)と続いた(添付資料表3参照)。202279月に発表された日本からの主な投資案件として、日本板硝子PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)による太陽電池パネル用透明導電膜付きガラス製造設備の新設案件、東洋インキグループ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによるラミネート接着剤の生産設備の拡張案件があった。

2023年の外国投資は減速傾向へ

景気後退リスクが高まる中、世界的な金融引き締めやウクライナ情勢などの影響を受け、2023年にはマレーシアへの外国投資が減速する可能性がある、とサンウェイ大学のヤー・キム・レン経済学部教授は分析している。ただし、2020年上半期のような激減(製造業の外国投資認可額は33.7%減)にはならないと見通している(ザ・スター紙1219日)。同氏によると、経済の再活性化と質の高い外国投資の誘致に重点を置く新政権への好感が、マレーシアへの投資見通し改善に寄与するとの見方を示した。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

ビジネス短信 45f9483091f1f545