三井物産、米フローレンスカッパーと低炭素銅地金の引き取り契約を締結

(米国、日本)

ヒューストン発

2022年12月23日

三井物産の子会社である米国三井物産は12月21日、米国アリゾナ州で低炭素銅地金の生産を計画するフローレンスカッパー(本社:アリゾナ州フローレンス)と、低炭素銅地金の引き取り契約を締結したと発表した。

米国三井物産は、開発資金の一部として5,000万ドルをフローレンスカッパーに支払い、生産される銅地金を引き取るとともに、同社の株式転換権を取得するとしている。

フローレンスカッパーは、地中で埋蔵銅分を回収するIn-Situ Recovery法(注)での生産を計画しているとしている。通常の銅鉱山で地面を採掘する際に必要となる、採掘機械やトラックなどを一切使用しないため、二酸化炭素(CO2)の排出量が従来プロセス比で約8割少なく、環境負荷の低い銅地金の生産が可能という。

発表によると、銅は産業を支える基幹金属で、電気自動車(EV)の普及や再生可能エネルギー関連のインフラ開発の進展により、今後さらなる需要増が見込まれている。三井物産は2050年ネットゼロエミッションを目標に掲げ、2030年には2020年3月期比で温室効果ガス(GHG)インパクト半減を目指しており、本取り組みを通じ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する方針だ。

三井物産はグループ全体で米国での脱炭素化に取り組んでおり、2022年5月に石油ガス分野の脱炭素化と余剰エネルギー有効活用を促進するため、米国クルーソー・エナジー・システムズの持ち株会社への第三者割当増資を発表し(2022年6月3日記事参照)、7月には米CFインダストリーズとクリーンアンモニア開発での提携を発表した(2022年8月2日記事参照)。また、9月には三井石油開発が国米シェブロンと地熱開発技術での提携を発表している(2022年9月29日記事参照)。10月には、コミュニティソーラーの普及促進のため米国ソルスティスを買収したと発表した(2022年10月14日記事参照)。

(注)地上から鉱物のある地層に薄い硫酸を注入し、鉱物が溶けた溶液をくみ上げる採鉱法。ウランの採掘では一般的だが、銅は地質条件の合う鉱区が少ない。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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