三井物産、米ソルスティスを買収、コミュニティソーラー普及を促進へ

(米国、日本)

ヒューストン発

2022年10月14日

三井物産は10月13日、米国子会社を通じて、米国コミュニティソーラー事業者向けに顧客獲得・管理サービスを提供するソルスティス・パワー・テクノロジーズ(マサチューセッツ州ケンブリッジ)の株式を100%買収したと発表した。

発表によると、コミュニティソーラーは、米国各州で設けられる分散型太陽光発電導入支援制度に基づき、主に民間事業者により設置・運営される太陽光発電設備とされている。地域住民や企業は、コミュニティソーラー事業者と電力購入契約を締結することで、近隣に設置されたコミュニティソーラーから、クリーンで安価な電力を購入することが可能になるという。

米国では、コミュニティソーラーの導入が近年、各地で進んでいるが、収入証明の煩雑なプロセスなどが障害となり、低・中所得層への普及が進んでいないのが現状だという。そのため、米連邦政府は8月に施行されたインフレ削減法(2022年8月17日記事参照)で、低所得層向けのコミュニティソーラー事業に対して追加の税制優遇枠を設け、コミュニティソーラーの導入をあらためて後押しする姿勢を打ち出したとされている。

ソルスティスは、コミュニティソーラー事業者および顧客がアクセス可能な同社独自のソフトウエアプラットフォームにより、契約プロセスの簡素化や操業状況の見える化などが可能としている。三井物産は、ソルスティスの買収により、コミュニティソーラーの課題解決および普及に貢献するとしている。

三井物産はグループ全体で米国での脱炭素化に取り組んでおり、5月に石油ガス分野の脱炭素化と余剰エネルギー有効活用を促進するため、米国クルーソー・エナジー・システムズの持ち株会社への第三者割当増資を発表し(2022年6月3日記事参照)、7月には米CFインダストリーズとクリーンアンモニア開発での提携を発表した(2022年8月2日記事参照)。また、9月には三井石油開発が米シェブロンと地熱開発技術での提携を発表している(2022年9月29日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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