三井石油開発と米シェブロン、地熱開発技術で提携

(米国、日本)

ヒューストン発

2022年09月29日

三井石油開発は9月23日、米国石油大手シェブロンの子会社シェブロン・ニュー・エナジーズ・インターナショナルと、日本での先進的な地熱開発技術の実現可能性を探る共同協力契約に署名したと発表した。 

発表によると、今回の共同検討では、両社が協同して日本の地熱資源の可能性の検証や、将来的な実証実験実施に向けたAdvanced Closed Loop技術(ACL技術、注)の有効性の評価を実施し、海外での協業も視野に検討を進めることとしている。

三井石油開発の濵本浩孝社長は「2012年に地熱事業に参入し、従来型の地熱開発に加えて、ACL技術に関しても検討を継続してきた。われわれはACL技術への新しい挑戦が日本の熱資源利用の新たな道を切り拓くものと考えている」と述べた。また、シェブロン・ニュー・エナジーズのオフセット・エマージング担当バイスプレジデントのバーバラ・ハリソン氏は「今回の協業でわれわれのチームは地熱資源の大きな可能性を秘めた日本で、新たな地熱技術に取り組む機会を得ることができると考えている」と述べた。

画像 ACL技術のイメージ(三井石油開発提供)

ACL技術のイメージ(三井石油開発提供)

三井石油開発の親会社の三井物産は米国での脱炭素化に向けて取り組んでおり、5月に石油ガスと再生可能エネルギー領域での余剰エネルギーの有効活用を促進するため、米国クルーソー・エナジー・システムズの持ち株会社への第三者割当増資を発表した(2022年6月3日記事参照)。7月には米国のCFインダストリーズと米国でのクリーンアンモニア生産施設の新設に向け、共同開発契約を締結したと発表した(2022年8月2日記事参照)。

(注)地下から熱水や蒸気を直接的に取り出して発電を行う従来型地熱発電と異なり、図のように、地下の高温岩体層に圧入井と生産井からなる閉囲型の井戸を形成し、地上から水などを循環させることで、地下の熱のみを回収して発電を行う方式。熱水や蒸気を直接的に採取しないため、環境負荷を軽減できるメリットもある。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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