ラオス、中国国境のトラック渋滞問題の解決図る

(ラオス)

ビエンチャン発

2022年01月07日

ラオスと中国との国境地域ボーテンでは、2021年10月上旬から、中国向けトラックの通関手続きが滞り、約50キロにおよぶ渋滞が発生している(「パサソン」2021年12月30日)。年明け以降もその状況は変わらない模様だ。

背景には、中国政府の新型コロナウィルス対策強化がある。2021年10月4日、ラオス人のトラックドライバーが中国入国後、新型コロナウィルスへの感染が確認されたため、ラオス車両の中国入国が、一時的に禁止された。その後、規制は緩和されたが、中国への入国が許可される車両は、1日150台に制限されており、引き続き国境付近での渋滞が発生している。

現在、ラオス側のドライバーは、中国に入国する前に、一定期間の隔離やPCR検査を実施する必要がある。また中国入国後も、車両の消毒や、中国側ドライバーとの交代が必要となる。しかし、これらに対応する人材が不足しており、スムーズな国境通関を難しくしている。

他方、ボーテン国境には、ラオスからコメ、ハトムギ、トウモロコシなどの農産物や天然ゴムを中国に輸出するため、トラックが1日平均350台到着している。特に、中国向けの輸出割当が設定されているコメは、2021年分の輸出割当枠の期限が12月末であることから、多くのトラックが通関待ちをした。そのため、当該国境が位置するルアンナムター県では、トラックの他県からの乗り入れを制限するなどの措置も講じた(「ラオス国営放送」2021年12月27日)。

こうした状況を改善するため、ラオス政府は2021年12月27日、カムペーン・サイソムペーン商工相を長とする「国家貿易円滑化委員会」を開催し、中国側と協議することを確認した(注)。特に、新型コロナウィルスの感染拡大以降、閉鎖されているパングハイ国境(ルアンナムター県)、ラントゥイ国境(ポンサリ県)、そしてメコン川国境(水運)の再開に向けた協議や、中国ラオス鉄道を活用した貨物輸送の円滑化に向け、各地の通関・検疫設備の整備をさらに進めるよう関係機関に指示した(「ラオス国営放送」12月28日)。

中国政府も、本件に対応するため、中国側ドライバーの増員、車両消毒時間の短縮化、また1日400台までトラックの入国を許可する案を検討している(「セータキット」2021年12月29日)。

写真 ボーテン国境の様子(ジェトロ撮影)

ボーテン国境の様子(ジェトロ撮影)

(注)国家貿易円滑化委員会は2021年12月26~27日に開催。公共事業省、農林省、エネルギー鉱山省、中国ラオス協力委員会などが出席し、中国との国境通関問題について議論。

(山田健一郎)

(ラオス)

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