日本産の温州ミカンとナシ、味は高評価も、認知度に課題

(ベトナム、日本)

ホーチミン発

2022年12月28日

ジェトロは、ベトナム南部のホーチミンで12月上旬に開催された食品展示会「Food & Hotel VietnamFHV2022」(2022年12月22日記事参照)の会期中、日本産の温州ミカンとナシに関するアンケート調査を実施した。いずれも味の評価は高かったが、ベトナムでの認知度やシェアの拡大に課題が見られた。

このアンケート調査はFHV 2022のジャパンパビリオン内で開催された日本産青果物をテーマとしたワークショップ(注)の中で実施した。来場者のレストランやホテルの事業者や、食品を取り扱う小売・卸事業者などを対象に、福岡県産の温州ミカンと茨城県産のナシ「あきづき」の試食を行い、アンケートの回答を得た(添付資料表12参照)。なお、温州ミカンの日本からベトナムへの輸出は2021年に解禁され(2021年12月14日記事参照)、ナシは2017年に解禁されている。

アンケート結果によると、日本産温州ミカンがベトナムで輸入販売されていることを「知らない」と回答した人は全回答者291人のうち207人(71.1%)。「食べたことがない」と回答した人は234人(80.4%)で、回答者の78割は日本産温州ミカンがベトナムで販売されていることを知らず、食べたこともないことが分かった。一方、味については「とても好き」が158人(54.3%)、「まあ好き」が114人(39.2%)と、全体の9割以上が好意的な回答だった。

輸入解禁の時期が先行する日本産ナシについては、ベトナムで輸入販売されていることを「知っている」と回答した人が全回答者105人のうち62人(59.0%)と半数を超え、一定の認知度がうかがえた。味についても「とても好き」が40人、「まあ好き」が65人で、好意的な回答が100%となった。「食べたことがない」と回答した人は65人(61.9%)で、ベトナムで販売されていることを知っているが、購入はしない人が多い状況が分かった。

ベトナムでの温州ミカンの流通は、2021年は和歌山県産のみだったが、2022年は福岡県産も販売されている。当地の小売店の情報によると、今後は佐賀県産も輸入され、販路は拡大する見込みだという。ナシについては、2022年に福島県、茨城県、栃木県、大分県の各県を産地とする商品が販売されている。今後、ベトナムでの一層の認知度向上やシェア拡大が期待される。

写真 ワークショップの様子(ジェトロ撮影)

ワークショップの様子(ジェトロ撮影)

写真 アンケート調査の様子(ジェトロ撮影)

アンケート調査の様子(ジェトロ撮影)

(注)ワークショップでは、ホーチミン市の高島屋で青果物販売をするスターキッチンの創業者兼最高経営責任者(Founder/CEO)の荒島由也氏を講師に迎えて、日本産青果物の魅力を紹介した。

(児玉良平)

(ベトナム、日本)

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