輸入解禁の日本産温州ミカン、イオンモールで販売開始

(ベトナム)

ハノイ発

2021年12月14日

イオンモールベトナムは12月3日、ハノイ市内のロンビエン店で、初めて輸入した和歌山県産ミカンの披露会を開催し、試食を通して高品質な日本産温州ミカンをPRした。日本産温州ミカンは2021年10月に輸入が解禁されていたが、今回初めてベトナムのスーパーマーケットの店頭に並んだ。

イオンモールの担当者によると、日本産温州ミカンはベトナム市場に流通しているベトナム産やオーストラリア産などのかんきつ類と比べて、より甘く、皮が薄く、種がなくて食べやすいという特徴がある。試食した消費者は「従来のミカンと比較して味が濃くて驚いた」「内側の皮を剥がずに食べられるのが良い」「値段は少し高いが、贈答品として購入したい」などの感想を述べていた。披露会に参加した農業農村開発省植物保護局のグエン・クイ・ズオン次長は「両国の関連機関が技術的な協議を重ねた結果、輸入が実現してうれしく思う」と述べ、日本産温州ミカンのベトナム市場浸透に期待を示した。今回店頭に並んだ和歌山県産ミカンは、ベトナムの輸入販売事業者のトニーフルーツが輸入し、全国6カ所のイオンモールのほか、果物専門店やスーパーマーケットなどで販売される。

日本産温州ミカンの輸入解禁については、2017年に日本がベトナムに要請を行って以来、双方の植物検疫当局が協議を重ね、2021年10月に検疫措置の合意に至った。日本の農林水産省によると、主な検疫条件PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)として、(1)登録生産園地での栽培、(2)登録生産園地での調査と検査、(3)ベトナム側植物検疫当局による登録生産園地の確認、(4)登録選果梱包(こんぽう)施設での選果・梱包、(5)輸出検査の実施を定めている。このうち、病害虫の発生状況を確認する(2)の検査では、ミカンバエなどが無発生であることが条件となっている。2021年にベトナムが日本から輸入するのは、検疫条件を満たした和歌山県産の約2トンとなる見込みだ。

ベトナムが輸入を認めている日本の生果実は、リンゴ(2015年10月5日記事参照)、ナシ(2017年2月10日記事参照)に続き、温州ミカンが3品目目となった。在ベトナム日本大使館によると、日本産ブドウの輸入解禁、ベトナム産のロンガン(竜眼)とポメロの対日輸出解禁に向けた協議も進んでいる。

写真 店頭に並ぶ日本産温州ミカン(12月3日、ジェトロ撮影)

店頭に並ぶ日本産温州ミカン(12月3日、ジェトロ撮影)

(安長裕)

(ベトナム)

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