南ア政府、グリーン水素サミットを開催

(南アフリカ共和国、日本、ナミビア)

ヨハネスブルク発

2022年12月15日

南アフリカ共和国政府は11月29から30日にかけて、ケープタウンにおいてグリーン水素サミットを開催した。本サミットは、水素産業での協力関係の構築などを目的として開催されたもの。政府関係者、国際機関、学術関係者、民間企業が一堂に会した。各国からのビジネスデリゲーションも参加しており、日本企業も多く集まった。なお、サミットでは、展示会も併設されたほか、会期後の12月1日には、ボハベイ(Boegoebaai)にあるグリーン水素の特別経済区への現場視察が実施された。

シリル・ラマポーザ大統領もサミットの開会式に出席し、基調講演を行った。同大統領は「公正なエネルギー移行投資計画」(2022年11月16日記事参照)について、「グリーン水素は投資計画の4つの『ビッグフロンティア』の1つで、産業として大きな投資の可能性を秘めている」と述べた。同大統領は、南アの強みの1つにエネルギー大手サソールをはじめとする自国企業がすでに製造技術を有していることを挙げ、南ア国内で2050年までに年間600万トンから1,300万トンのグリーン水素とその派生品が生産されると推定した。

同じくサミットに出席していたパテル貿易産業競争相は、パネルディスカッションにおいて「今後、グリーン水素産業が構築されている中でサプライチェーンも構築されていく」とした上で、「その中で南アでの生産を増やし、現地の資源を使うなど現地化を進めることで、地域活性化や雇用にも貢献できる」と期待を示した。

会場ではさまざまなセッションが用意され、航空・船舶燃料についてのセッションには、伊藤忠商事がスピーカーとして登壇。同社は、アンモニア燃料の船舶開発を進めており、グリーンアンモニアの運搬、バンカリングを実行し、南アから同社の持つ顧客に対して販売していくことでゼロエミッションを実現していくとアピールした。

また、日本セッションでは、在南ア日本大使館の丸山則夫大使のほか、経済産業省、三菱重工業や三菱UFJ銀行関係者らが登壇し、日本のグリーン水素とアンモニア活用における現状や、今後の南アと日本間の連携について説明した。

国別セッションについてはそのほか、ドイツ、オランダ、ナミビアのセッションがあった。南アの隣国ナミビアも水素製造に関する投資誘致に力を入れており(2022年11月11日記事参照)、今後、南アと協力してグリーン水素回廊の整備を進めていくとした。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国、日本、ナミビア)

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