カナダ中銀、政策金利を0.5ポイント引き上げ4.25%に

(カナダ)

トロント発

2022年12月08日

カナダ中央銀行は12月7日、政策金利を0.5ポイント引き上げ、4.25%とすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。利上げは2022年3月以来7会合連続で、9カ月間で4.0ポイント引き上げたことになる。市場では0.25~0.5ポイントの利上げが予測されていた。

中銀は前回までの政策金利発表で、さらなる利上げが必要との見解を示していたが、今回は「金融引き締めが需要減速に及ぼす作用度合いや、供給面の課題の解決状況、インフレとインフレ期待への反応状況を引き続き評価」した上で、「政策金利をさらに引き上げる必要があるかどうかを検討する」と表明するにとどまった。

カナダ経済について、声明文では「第3四半期(7~9月)のGDP成長率(2022年11月30日記事参照)は予想を上回り、経済は需要超過の状態が続いた」として、「カナダの労働市場は依然としてタイトで、失業率が歴史的な低水準にある」と説明した。ただし、消費が緩やかになり、住宅市場の活動が引き続き低下するなど、金融引き締め政策が内需を抑制していることを示す証拠が増えており、2022年末から2023年前半にかけて基本的に成長は停滞するとの見方を示した。

消費者物価指数(CPI)上昇率については、10月も9月に続き6.9%(2022年11月18日記事参照)と、家計で定期的に購入する商品やサービスの多くが大幅な値上がりを示しているものの、5%前後で推移を続けるコアインフレ率の3カ月変化率は低下しており、物価上昇圧力が失速している可能性を示唆する兆しが見え始めているとした。

発表を受け、TD銀行のディレクター兼シニアエコノミストのジェームス・オーランド氏は「2022年を通じた急激な利上げは、不動産市場に劇的な調整をもたらし、個人消費のデータにもそれが表れ始めている。過去の利上げの遅延効果が浸透し、2023年を通して引き続き景気の重荷になると予想する。中銀は1月に最後の利上げを実施し、政策金利を4.5%にすると予想する。その時点で中銀は傍観者となり、2023年通年で景気が再調整され、インフレ率の低下傾向を継続させることが可能になる」とコメントした(TDエコノミクス12月7日)。

次回の政策金利発表は、2023年1月25日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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