カナダ、第3四半期のGDP成長率は前期比年率2.9%

(カナダ)

トロント発

2022年11月30日

カナダ統計局が11月29日に発表した2022年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は前期比年率2.9%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、5四半期連続の拡大となった。輸出や設備投資、企業の在庫投資が増加したものの、住宅投資や個人消費支出は減少し、伸びは緩やかなものとなった。

成長に大きく寄与した輸出は8.6%増加し、原油・ビチューメン(歴青)、農水産物が牽引して2四半期連続の増加となった。原油とビチューメンの価格は下落したが、数量は大幅に増加した。農産物は、小麦の収穫量増加により、輸出が増えた。

設備投資も4.3%増と7四半期連続で増加した。なかでも、エンジニアリング構造物への投資は、ブリティッシュ・コロンビア州のキティマット液化天然ガスプロジェクトやアルバータ州の風力発電所への投資が継続され、13.9%増となった。

また、企業在庫の在庫投資も過去最高の468億カナダ・ドル(約4兆7,736億円、Cドル、1Cドル=約102円)に達し、製造業、卸売業、小売業で在庫が拡大した。

一方、住宅投資は、金利上昇に伴って15.4%減となり、2四半期連続の減少となった。新築住宅が増加したものの、リフォームは2四半期連続、再販活動は3四半期連続して減少した。

さらに、2021年第2四半期から一貫して増加を続けていた個人消費支出は1.0%減となった。新型コロナウイルス感染拡大前の状況に近づいていた第3四半期では、海外旅行などを含むサービス業が3.8%増加したものの、物品の6.5%減少が足かせとなった。

統計局による発表を受け、TD銀行のディレクター兼シニアエコノミストのジェームス・オーランド氏は「12月もカナダ中央銀行(中銀)は政策金利を0.5ポイント引き上げると予想されるが、われわれは利上げサイクルが終盤に差し掛かっていると考えている。金利に敏感なセクターは後退し、住宅投資は第3四半期に15.3%減少した。この後退は消費者分野全体に及んでおり、中銀は過去の利上げが経済へ及ぼす影響を見極めるため(利上げを)いったん停止せざるを得なくなるだろう」とコメントしている(TDエコノミクス11月29日)。

(飯田洋子)

(カナダ)

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