米環境保護庁、冷蔵庫やエアコンなど向けHFC規制案発表、特定HFC使用をさらに厳格化

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月13日

米国環境保護庁(EPA)は12月9日、家電製品などの冷媒として使用するハイドロフルオロカーボン(HFC)について、エアコンや冷蔵庫などでの使用規制案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EPAは2021年9月、HFCを今後15年間で85%削減する規則を発表しているが(2021年9月27日記事参照)、業界団体や環境団体、州政府などから、特定のHFCのさらなる使用制限を求める動きが続いており、今回はそれに応えたかたちだ。

規則案では、規制対象に工業・小売り用などの冷蔵庫、住宅用や自動車用のエアコン、ヒートポンプ、除湿機、自動販売機など約40の製品カテゴリーを挙げ、地球温暖化係数(GWP、注)の高いHFCまたは特定物質の使用禁止を定めている。GWPの上限は製品の種類によって異なるものの、最大700に設定しており、製造業者は設定のGWP以下のHFCしか製品に使用できなくなる。また、同規制の適用では、大半の製品は2025年1月1日以降に製造または輸入されたものが対象となるが、自動車用エアコンについては2025年モデルまたは2026年モデルが対象とされている。EPAによると、今回の規則により、2050年までに二酸化炭素(CO2)換算で1億3,400万~9億300万トンに相当する温室効果ガス(GHG)削減が見込まれ、エネルギー効率改善などを通じた純便益は131億~562億ドルに達するという。

なお、この規則案は、官報での公開後45日間パブリックコメントが受け付けられる。

米国では、9月に代替フロンの国際規制のモントリオール議定書キガリ改正批准が議会で承認されていることに加え(2022年9月26日記事参照)、10月には2021年9月に発表したHFC削減に関する規則に沿って、企業などへの2024~2028年のHFC生産・消費の割り当て基準案を公表するなど(2022年10月24日記事参照)、HFC削減に向けた動きが着実に進んでいる。HFC削減については、与野党間の対立なども少ないため、今後もこの動きは続きそうだ。

(注)地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)とは、CO2の温室効果を1としたときの、他のGHGの持つ温暖化への影響力の大きさを数値化したもの。

(宮野慶太)

(米国)

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