米環境保護庁、2024~2028年のHFC生産・消費の割り当て基準案公表

(米国)

ニューヨーク発

2022年10月24日

米国環境保護庁(EPA)は10月20日、エアコンや冷蔵庫などの家電製品に冷媒として使用されているハイドロフルオロカーボン(HFC、代替フロン)について、2024年から2028年までの各企業に対する生産・消費量の割り当て基準案を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

EPAは2021年9月、国際的なHFC規制であるモントリオール議定書キガリ改正にのっとり、HFCを今後15年間で85%削減するための規則を発表しており(2021年9月27日記事参照)、今回の基準案公表はこれに基づいた措置となる。同規則の発表時点では、米国はキガリ改正に未批准だったが、2022年9月に上院で条約への批准が承認されており(注、2022年9月26日記事参照)、今回の割り当て基準案の発表を通じてさらにHFC規制にかじを切るかたちとなる。

公表された規則のファクトシートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2022年および2023年におけるHFCの削減量は、2011年から2013年までのHFCの生産・消費量などから設定されたEPAが定めるベースラインの10%で、2024年から2028年にかけては40%削減する(添付資料図参照)。今回発表された割り当て基準案について、EPAは基本的に2023年までの割り当てを策定したときの方法に基づいて策定するとしているが、記録管理や報告についてより正確性を期すために、その要件を修正したとしている。次の年の生産・消費によるHFCの排出枠は、前年の10月1日までに公表することになっていることから、2024年の削減割り当ての最終決定は2023年になる見込みだ。

EPAによると、2022年に入ってからの9カ月間で88万9,000トン以上の二酸化炭素(CO2)に相当する違法なHFCの出荷を防止したとしており、これは約17万3,000世帯が1年間電力を使用した際に生じるCO2排出量に相当するとしている。米国で排出されるHFCのうち、約28%が食料品店やレストラン、食品加工業などの業務用冷凍設備に用いられており(「ワシントン・ポスト」紙電子版10月21日)、削減量がさらに厳しくなる2024年以降、こうした業界を中心に、HFC削減の影響はさらに大きくなることが予想される。

(注)米国では国際条約を批准する際、上院で出席議員の3分の2の賛成を得る必要がある。

(宮野慶太)

(米国)

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