インド・オーストラリア経済協力・貿易協定、12月29日に発効

(インド、オーストラリア)

ニューデリー発

2022年12月07日

インドのピユシュ・ゴヤル商工相とオーストラリアのドン・ファレル貿易・観光相は1130日、両国間の経済協力・貿易協定(ECTA)の発効日が1229日になったとそれぞれ発表した。両国は42日に同協定に署名をしており(2022年4月4日記事参照)、両国内で批准に向けた手続きが行われていた。

インド政府の発表によると、インド産品のオーストラリア輸入時の関税率は将来的に全品目で無税となるほか、オーストラリアに留学中のインド人学生が卒業後に同国における就労ビザ(1年半~4年)を取得できるようになる。また、オーストラリアにおけるヨガのインストラクターや料理人といった専門職の年間ビザ枠が、インド人に対して設けられるという。

他方、オーストラリア政府の発表によると、オーストラリア産品のインド側輸入時の関税率は85%の品目で撤廃されるほか、5%の品目で軽減されることになる。対象となる品目には、野菜・果物や羊毛・羊肉などの農畜産品、ワイン、天然資源などが含まれる。また、オーストラリア企業によるインド向け直接投資においても、高等教育や研究開発(RD)、通信・建設・エンジニアリングなどを含む31分野において、オーストラリアが最恵国待遇を受けることが保証されるという。

インドとオーストラリアは、2009年に「戦略的パートナーシップ」、2020年に「包括的戦略的パートナーシップ(CSP)」を宣言する(2020年6月12日記事参照)など、戦略的な協力関係にある。また両国は、日米豪印戦略対話(QUAD)や日豪印間のサプライチェーン強靭(きょうじん)化イニシアティブ(SCRI)(2022年3月28日記事参照)、インド太平洋経済枠組み(IPEF)(2022年5月24日記事参照)といった、日本を含めた多国間協力の枠組みにも参加している。

なお、今回の協定は、最終的に目指す包括的経済協力協定(CECA)に向けた暫定協定という位置付けだ。今後5年間で、両国間の貿易額は現状の310億米ドルから450億~500億米ドルにまで拡大することが見込まれている。

(広木拓)

(インド、オーストラリア)

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