米エネルギー省、大気中のCO2直接回収プロジェクトに約37億ドル拠出を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月20日

米国エネルギー省(DOE)は12月13日、大気中の二酸化炭素(CO2)を直接回収する技術(Direct Air Capture:DAC)を活用した事業などに約37億ドルを拠出することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。当該予算は、インフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)から拠出される。

約37億ドルの資金のうち、35億ドルは国内に4カ所設置されるDACハブの開発に充てられ、1カ所当たり年間100万トン以上のCO2を回収できるようにする。回収したCO2は地下に永久貯蔵されるか、プラスチックなどの製品に利用される。資金は2022会計年度(2021年10月~2022年9月)から2026会計年度(2025年10月~2026年9月)までの5年間にわたって拠出される。また、CO2除去技術の開発に取り組む州や地方政府への助成金として1億ドル、DACに取り組む企業などを対象にしたコンペでの賞金として1億1,500万ドルが拠出される。

DACについては、2022年8月に成立したインフレ削減法(2022年10月6日付地域・分析レポート参照)においても予算が手当てされており、これまでCO2回収1トン当たり50ドルの税額控除だったものが、180ドルにまで拡充されている。こうした支援もあり、年間最大100万トンのCO2回収が可能となるDACプラント開発がバーミアン盆地で進められており、2024 年の運用開始が予定されている(2022年8月26日記事参照)。最近でも米国オクシデンタルなどが最大30基のDACプラントを建設するために土地のリース契約を締結したことを発表するなど(2022年11月2日記事参照)、DACに関連した動きは盛んになっている。

国際エネルギー機関(IEA)によると、現在、世界全体で18のDACプラントが稼働しているが、CO2回収量は年間1万トン程度にとどまる。しかし、2050年までの脱炭素化・CO2排出量ネットゼロの達成のために示したロードマップでは、2030年にはDACによる年間回収量を6,000万トンまで引き上げることを見込んでいる。

(宮野慶太)

(米国)

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