米オクシデンタルなど、最大30基の直接大気分離回収プラント建設で土地のリース契約

(米国、カナダ)

ヒューストン発

2022年11月02日

米国石油大手のオクシデンタル、同社のグループ会社で低炭素関連事業を手掛ける1ポイントファイブ、農業生産・資源管理を行う米国のキングランチ(注)は10月31日、最大30基の二酸化炭素(CO2)の直接大気分離回収(DAC)プラントの建設に向けて、テキサス州クレバーグ郡の10万6,000エーカー(約429平方キロ)の土地のリース契約締結を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本契約により、DACプラントを通じて年間最大3,000万トンのCO2を除去できる可能性があり、最大30億トンのCO2を地層に貯留できる土地が利用可能になるとしている。

1ポイントファイブは、2035年までに世界各地で70基のDACプラントを建設するとした事業戦略を発表しており、今回のプラント建設はその一環にあたる(2022年6月8日記事参照)。キングランチの土地は、DACプラントによるCO2回収に加え、テキサス州コーパスクリスティなどメキシコ湾岸地域の産業排出地域近辺に位置しているため、CO2の回収、輸送、貯留が可能という。

オクシデンタルのビッキー・ホラブ社長兼最高経営責任者(CEO)は「われわれは、安価で実用的な産業規模の脱炭素ソリューションを提供する計画を継続しており、世界最大規模のDACプラント導入に向けて、キングランチと協業できることをうれしく思う」「革新的なCO2除去ソリューションとなる大規模なDACプラントは、組織や国家のCO2排出量削減に重要な役割を果たし、世界的な気候変動への対応に必要な規模でソリューションを提供できると確信している」と述べた。

オクシデンタルは、グループ全体で低炭素事業に関する取り組みを加速している。2022年以降では、6月に1ポイントファイブがカナダのマニュライフとCO2の回収・貯留(CCS)事業で連携を(2022年6月29日記事参照)、8月にはオクシデンタルと1ポイントファイブが世界最大規模のCO2回収プラント建設開始を(2022年8月26日記事参照)、10月にはオキシ・ローカーボン・ベンチャーがCCS事業で米国ナチュラル・リソース・パートナーズと提携を発表した(2022年10月31日記事参照)。

(注)テキサス州南部コーパスクリスティ市近郊にある州を代表する大農場。1853年にリチャード・キング氏が創設、現在総面積は82万5,000エーカー(約3,339平方キロ)。

(沖本憲司)

(米国、カナダ)

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