10月のGDP成長率、前年同月比マイナス4.4%、通年ではマイナス2.9%の見通し

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年12月08日

ロシア経済発展省の発表(1130日)によると、10月の実質GDP成長率(推計値)は前年同月比マイナス4.4%(前月伸び率より0.1ポイント増)となった(添付資料表参照)。西側諸国による制裁の影響を受け、マイナスの成長が続いている。同省は2022年通年の成長率をマイナス2.9%と予測した。

10月の鉱工業生産は前年同月比2.6%減(前月伸び率より0.5ポイント増)だった。内需向けのコンピュータ・電子機器の生産が増加し、製造業の伸び率が前月より1.6ポイント増と改善した。自動車は前年同月比45.2%減(6.6ポイント増)。10月の乗用車新車販売台数は43,308台(前年同月比63.1%減)にとどまったが、地場乗用車最大手アフトワズのブランド「ラーダ」が39.5%を占め最多だった(調査会社「アフトスタト」)。制裁による影響を受けて外資系自動車メーカーが相次いで生産・販売を終了しロシア市場から撤退する中、国産車の需要が高まっていることが背景にある(2022年11月1111月25日記事参照)。同社のマクシム・ソコロフ最高経営責任者(CEO)は、2023年には2021年の生産台数を超える計画と発表した(ビジネス誌「フォーブス」ロシア版125日)。

建設業は前年同月比9.6%増(前月伸び率より3.8ポイント増)と好調が続いている。中央銀行と政府は国内の景気刺激策として、4月以降の利下げの金融緩和と融資支援策による貸し付けを推進しており(2022年6月1日記事参照)、企業の設備投資が増加したためだ。

労働市場は安定しており、10月の失業率は3.9%だった。実質賃金は9月が1.4%減と、前月伸び率より0.2ポイント減少した。

ロシアの公式GDP統計は、四半期別と年別について連邦国家統計局、推計値として月次の成長率は経済発展省がそれぞれ発表している。

(小野塚信)

(ロシア)

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