9月のGDP成長率は前年同月比マイナス5.0%、貨物輸送が減少

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年11月11日

ロシア経済発展省の発表(112日)によると、9月の実質GDP成長率(推計値)は前年同月比マイナス5.0%(前月伸び率より1.0ポイント減)となった。第3四半期(79月)の推計値は前年同期比マイナス4.4%(前期伸び率より0.3ポイント減)だった(添付資料表参照)。経済発展省は2022年通年の成長率をマイナス2.9%と予測している。

鉱工業生産は前年同月比3.1%減、第3四半期は前年同期比1.3%減(前期伸び率より1.2ポイント増)だった。建設業は前年同月比5.8%増、第3四半期6.6%増(前期伸び率より3.1ポイント増)と引き続き景気を支えた。

貨物輸送は前年同月比7.2%減(前月伸び率より3.1ポイント減)、第3四半期は前年同期比5.5%減(前期伸び率より2.5ポイント減)だった。主な要因はパイプライン輸送の前年同月比12.6%減によるものだ。

自動車製造業は前年同月比51.8%減(前月伸び率より8.9ポイント減)だが、第3四半期では51.4%減と前期伸び率(62.9%減)と比べ改善した。調査会社アフトスタトによると、9月の乗用車新車販売台数は44,398台(前年同月比60.4%減)だった。最も販売台数が多かったのが地場乗用車最大手アフトワズの「ラーダ」で、販売台数の39.4%を占めた。日系自動車メーカーの生産事業終了や撤退が報じられる中(2022年10月13日記事参照)、アフトワズは約4,000人の追加雇用や「代替エネルギー源を搭載した車両」生産などの新プロジェクトを発表した(アフトスタト1014日)。政府も国産自動車の購入を支援しており、国産車の需要が増えている様子がうかがえる(2022年10月11日記事参照)。

小売商品売上高は前年同月比9.8%減(前月伸び率より1.0ポイント減)、第3四半期は9.1%減(前期伸び率より0.7ポイント増)だった。

労働市場は安定しており、9月の失業率は3.9%だった。実質賃金は8月が1.2%減と前月伸び率より2.0ポイント上回った。背景には名目賃金の上昇とインフレ率の鈍化がある。

ロシアの公式GDP統計は、四半期別と年別について連邦国家統計局、推計値として月次の成長率は経済発展省がそれぞれ発表している。

(小野塚信)

(ロシア)

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