WILLERS、オンデマンド型バスの運行区域拡大、EV車両投入へ

(シンガポール)

シンガポール発

2022年12月08日

日本国内で高速バスや鉄道などを手掛けるWILLER(ウィラー、本社:大阪市北区)のシンガポール子会社WILLERS(ウィラーズ)は11月15日、オンデマンド型の定額乗り放題のシェアリングサービス「mobi(モビ)」のシンガポール都心部の運行区域を拡大した。同サービスは2022年1月から開始していた。2023年からは電気自動車(EV)車両の投入も予定している。WILLERの村瀨茂高CEO(最高経営責任者)は11月21日、ジェトロのインタビューで「ASEANで新しいモビリティーサービスを提供する上で、〔二酸化炭素(CO2)排出量の〕ネットゼロを目指す」方針を示した。

WILLERSは2022年1月13日、シンガポール都心部の一部区域に限定してmobiのサービスを本格的に開始している(2022年1月17日記事参照)。村瀨CEOは今回、サービス内容を拡充した理由について、運行領域を拡大した場合の新たな移動ニーズの把握が狙いと説明した。

このほか、同社は2019年10月から、シンガポール国内の植物園2カ所でオンデマンド型の自動運転シャトルバスの運行を地場総合エンジニアリング会社STエンジニアリングなどと共同で実施している(現在一時休止中、2023年1月から順次再開予定、2019年12月27日付地域・分析レポート参照)。村瀨CEOはmobiについて「社会福祉や教育、観光などさまざまな用途に使える地域の共創プラットフォーム化を目指している」と語った。その上で「EV車両投入によるネットゼロの取り組みを経て、その先に自動運転への移行」も長期的に視野に入れていることを明らかにした。同CEOは「mobiと自動運転の性能を理解する取り組みが別々に進んでいるが、最終的にはそれぞれの経験や技術が1つになる」と説明。現段階では人がmobiを運転しているが、「(自動運転が可能になった時に)どの部分を自動運転が担うのか見極めながら、段階的に移行していく」考えを示した。

WILLERは東南アジアでは2016年にベトナム、2018年にシンガポールにそれぞれ法人を設立している。村瀨CEOはシンガポールが実証実験の場所であるとともに、ASEAN市場への展開に向けたモデルケースを構築する場と説明した。村瀨CEOは「ASEANでサービスを展開する際に、日本での実績よりも、シンガポールの方が(ASEANの人々に)理解されやすい」との考えを示し、今後のASEANでの展開について「2023年には可能であれば、新たに2~3カ国でサービスを小さく開始したい」と述べた。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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