与党ANC党首にラマポーザ氏、ビジネス界は歓迎

(南アフリカ共和国)

中東アフリカ課

2017年12月19日

与党・アフリカ民族会議(ANC)の党首選挙で、シリル・ラマポーザ副大統領が選出された。これにより、2019年の次期大統領選挙(国会による間接選挙)での当選が有力視される。ラマポーザ氏は、自身も実業家として成功した親ビジネス派で、経済界は大きな期待とともに同氏の選出を歓迎している。

ズマ下院議員に僅差の勝利

ANCの党首選は12月17日の深夜から翌18日にかけて行われ、ズマ大統領派が支持する前妻のドラミニ・ズマ下院議員(前アフリカ連合委員長)とラマポーザ副大統領の事実上の一騎打ちとなった(2017年11月7日記事参照)。ANCの発表によると、ラマポーザ氏は2,440票を獲得し、ドラミニ・ズマ氏の2,261票に僅差で勝利した。

ラマポーザ氏は汚職撲滅を公約に掲げ、汚職疑惑の絶えないズマ大統領を強く批判していた。同氏の党首就任を機に、ズマ大統領への不信任案が可決される可能性が高まっている。ビジネス界はこうした動きに好感を示し、経済低迷の一因となっている現政権の汚職問題や政治的混乱の収束を期待している。

次期大統領選挙は、2019年の国会議員選挙の後、下院議員による投票で行われる。国会議員選でANCが引き続き過半数を占める可能性が高いことから、次期大統領選でのラマポーザ氏の当選が有力視される。

ビジネス界に転じて成功、黒人エリートの1人

ラマポーザ氏は1952年生まれの65歳。1982年に全国鉱山労働者組合(NUM)初代議長に就任し、アパルトヘイト(人種隔離政策)下の白人政権や産業界との労使交渉で頭角を現した。組合員数を設立当初の6,000人から1992年には30万人まで拡大させた功績もある。1991年にはANC事務局長に就任し、アパルトヘイト撤廃に向けた交渉の中心的な役割を果たすとともに、1994年には憲法起草委員会の委員長を務めた。ネルソン・マンデラ元大統領が、自らの後継者に嘱望したこともあったとされる。

ラマポーザ氏はその後、1997年に政界からビジネス界に転じて成功し、黒人エリートの1人といわれる。投資会社シャンドゥカグループ会長を務めるとともに、多国籍企業を含め多くの企業の役員に就任した。ビジネス界で長らく活躍していたことから、政府とビジネス界の相互理解に貢献するとの期待が高く、今回のANC党首就任は外国投資家にとってもプラス要因と受け止められている。

(高崎早和香)

(南アフリカ共和国)

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