カザフスタン、国産核燃料を中国に初納入

(カザフスタン、中国)

タシケント発

2022年12月16日

カザフスタンの国営原子力企業カズアトムプロムは12月7日、同社傘下の核燃料サイクル企業ウルバTVSで生産した原子力発電用燃料集合体(注1)を中国に初納入したと発表した。納入したのは低濃縮ウラン換算で30トン。中国広核集団(CGNPC)の子会社である中広核鈾業発展(CGNPC URC)を通じて、中国の原子力発電所に納入された。

ウルバTVSは、2015年に設立された、東カザフスタン州オスクメン市にある中国との合弁会社。出資比率はカズアトムプロムが51%、CGNPCが49%。フランスの原子炉メーカー、フラマトムからの技術移転を受けて、同社のAFA-3G型燃料集合体のライセンス生産を2021年11月から開始している。燃料となるペレット(注2)は、カズアトムプロム子会社のウルバ冶金工場で生産されたものを使用している。

CGNPCは、カズアトムプロムとウラン開発に関する包括的協力契約を2014年に締結しており、この中で、ウルバTVSで生産された燃料集合体をCGNPC URCが年間200トン(低濃縮ウラン換算)、20年間購入することが盛り込まれていた(2021年9月7日記事参照)。

カズアトムプロムのイェルジャン・ムカノフ総裁は「原発用核燃料生産プロジェクトの実現により、地球規模の気候変動を緩和し、低炭素開発に貢献できる。高付加価値のウラン製品を生産することで、ビジネスが多様化する。中国への製品納入の成功により、世界の核燃料市場において信頼されるサプライヤーとして評価される」と述べている。

なお、カザフスタンは2025年から、アルマトイ州ウルケン村で原子力発電所の建設を開始する計画だ(2022年6月16日記事参照、24時間ニュースチャンネル「ハバル24」11月15日)。燃料集合体の国産化の実現によって核燃料の自前調達も可能になり、逼迫する国内電力の供給源(2021年9月13日記事参照)として大きな可能性を秘めている。

(注1)燃料棒を束ねたもの。沸騰水型炉(BWR)と加圧水型炉(PWR)の2種類がある。ウルバTVSは後者を生産する。

(注2)天然ウランを濃縮して円柱状に焼き固めたウラン燃料。これを細長い被覆管の中に詰めて燃料棒をつくる。

(増島繁延)

(カザフスタン、中国)

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