カザフスタン国営原子力企業、子会社株式の49%を中国企業へ売却

(カザフスタン、中国)

タシケント発

2021年09月07日

カザフスタン国営原子力企業カズアトムプロムは、子会社オルタリク・マイニング・エンタープライズの株式49%の中国広核集団(CGNPC)への売却を完了した。8月26日にカズアトムプロムが発表した。売却額は4億3,500万ドルと見積もられている。株式の売買契約自体は4月に締結されていたが、売買の前提条件となる議会の承認などが遅れていた。

オルタリク・マイニング・エンタープライズはカザフスタン南部シュー・サルス地区のウラン鉱床の中央ムィンクドゥックとジャルパクを所有する。両鉱床の推定埋蔵量は合計3万8,957トンで、中央ムィンクドゥックでは年間2,000トンのウラン生産が可能とされる(インフォームビュロー4月23日)。

カズアトムプロムは2014年にCGNPCとウラン開発に関する包括的協力契約を締結した。この契約には、カザフスタンの核燃料サイクル企業ウルバTVS(注)で生産された燃料を中国側が年間200トン、20年間長期購入することを条件に、オルタリク・マイニング・エンタープライズの株式49%を中国側に売却することが盛り込まれていた(カズアトムプロム公式ウェブサイト2020年12月29日)。

今回完了した株式売却契約の背景には、付加価値の高い核燃料生産への転換を図りたいカザフスタン政府と、国内原子力発電所の燃料を安定的に確保したい中国政府の思惑がある。世界原子力協会の資料によると、2019年の実績でカザフスタンは世界のウラン埋蔵量の15%、ウラン鉱石の生産量で世界シェア1位の42%を占めている。

(注)カズアトムプロムとCGNPCの合弁企業で出資比率は51対49。

(増島繁延)

(カザフスタン、中国)

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