欧州委、エネルギー危機対応としての国家補助ルール緩和策を延長

(EU)

ブリュッセル発

2022年11月01日

欧州委員会は10月28日、ロシアのウクライナ侵攻によるEU加盟国への経済的影響、とりわけエネルギー価格高騰による企業への打撃を軽減すべく、EU国家補助規制の一時的な緩和策である、国家補助に関する暫定危機対応枠組みの改正案を採択したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同枠組みは3月23日に導入し、7月20日に再生可能エネルギーへの投資促進支援などを強化した追加の緩和策を採択していた(2022年7月13日記事参照)。欧州委は10月18日に発表したエネルギー関連緊急対策の政策文書(2022年10月20日記事参照)の中で、同月中の暫定危機対応枠組み改正を目指すとしていた。

今回の改正ではまず、同枠組みの期限を1年延長し、2023年末までとした。支援の強化策としては、(1)危機により影響を受けたあらゆる産業の企業に対する補助金や優遇策の上限額を最大50万ユーロから200万ユーロに引き上げ(農業、漁業は1社当たりそれぞれ25万ユーロ、30万ユーロに引き上げ)、(2)流動性が低下しているエネルギー事業者への政府保証や補助金付き融資による流動性支援の柔軟な運用、(3)エネルギー集約型産業をはじめとする企業のエネルギー料金に対する直接的な補助金を含む各種形態の支援を、過去もしくは現在のエネルギー消費量に基づいて柔軟に算出し実施可能とすること、(4)電力需要の削減(2022年10月3日記事参照)に貢献する企業の取り組み、例えば、ピーク時電力抑制のための態勢整備への支援などが含まれる。(3)で、5,000万ユーロ以上の大型の助成を得る企業は、エネルギー消費でのカーボン・フットプリント削減やエネルギー効率改善の措置を講じていることなどを加盟国当局に示さなければならない。

欧州委は、エネルギー危機に対してEU全体で共通した解決策を追求することが重要で、加盟国の財政余力によって差異が生じる国単位の断片的な措置はEU単一市場の分断につながるものであり、避けなければならないと強調。

なお、欧州委は、スペインやポルトガルが既に導入している、発電用天然ガスに対する価格上限の維持策としての国家補助をEU全体でも実施していく案を検討しているが(2022年10月24日記事参照)、今回の決定はそれとは異なり、あくまで暫定危機対応枠組みの下でこれまでも加盟国に実施が認められてきた企業への支援策を延長し、増強する内容となっている。

(安田啓)

(EU)

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