2022年通年のGDP予測値をマイナス3.2%に下方修正

(香港)

香港発

2022年11月22日

香港特別行政区(以下、香港)政府は1111日、2022年通年の実質GDP成長率の予測値をマイナス3.2%に修正すると発表した。香港政府は8月時点では、マイナス0.5%~0.5%と予測しており(2022年8月22日記事参照)、大幅な下方修正となった。

また、併せて2022年第3四半期(79月)の実質GDP成長率の確定値を、前年同期比マイナス4.5%と発表。1031日に発表した速報値からの修正はなかった(2022年11月7日記事参照)。

香港政府の経済顧問の梁永勝氏は、下方修正について「第3四半期までの実績と短期的な見通しの不透明さを考慮した」と説明した。また、梁氏は今後の見通しについて、「外部環境の著しい悪化が香港の輸出の大きな下押し圧力となる」と指摘したほか、「地政学的な緊張や感染状況の高まりも下振れリスクになりうる」と言及。さらに梁氏は、域内経済については「経済見通しの悪化および借り入れコストの上昇によって固定資産投資が抑制されるだろう」と指摘しつつ、「感染動向が制御された状況下にあり、防疫措置の緩和がさらに進む限り、経済活動は次第に正常化に向かうだろう」との見方を示した。

フランスに本拠を置くナティクシス・コーポレート&インベストメント・バンキングのアジア太平洋担当シニア・エコノミストのグレイ・ンー氏は、今回のGDP成長率の下方修正については、香港政府が新型コロナウイルスの防疫措置により生じるダメージの程度を過小評価していたことを示していると指摘。また、ンー氏は「貿易不振や金利上昇による外部環境の悪化は、政府が制御できないものだったものの、域内需要の回復の遅れは、厳しい防疫措置によって引き起こされた『自業自得の問題』だ」と見解を示した。加えて、ンー氏は「香港が不況から脱するには現在の断片的な対外開放(防疫措置の緩和)の手法は十分とはいえず、すべての規制(防疫措置)を撤廃し、競争相手国・地域と同じラインに立つことが解決策だ」と分析した(「サウスチャイナ・モーニングポスト」1112日)。

(松浦広子)

(香港)

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