米連邦上院選世論調査、議会多数派を左右し得るジョージア、ネバダで激戦

(米国)

米州課

2022年11月01日

米国の11月8日の中間選挙を控え、連邦上院選で議会多数派を左右し得る選挙として注目されるジョージア、ネバダ両州で接戦が予想されている(注1)。いずれも共和党候補の追い上げが続き、民主党にとって厳しい戦いとなることが各種世論調査からわかった。

「ニューヨーク・タイムズ」紙とシエナ大学が10月31日、ネバダ州とジョージア州の連邦上院選に関する世論調査結果(注2)を発表した。それによると、ネバダ州では、民主党候補の現職キャシー・コルテス・マスト氏、トランプ氏が支持する共和党候補アダム・ラクソール氏(元州司法長官)がともに47%と拮抗(きっこう)している。8月の世論調査では、コルテス・マスト氏が7ポイントリードしていた(2022年8月24日記事参照)。

ジョージア州では、民主党候補の現職ラファエル・ウォーノック氏が49%、ドナルド・トランプ前大統領が支持する共和党候補のハーシェル・ウォーカー氏(元プロフットボール選手)が46%と、ウォーノック氏が3ポイントリードした。本選でどの候補も過半数に達しない場合は、12月6日に決選投票となる。

10月中旬に東カロライナ大学が実施したジョージア州の中間選挙に関する世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注3)では、誰に投票するかという問いに、ウォーノック氏が49%、ウォーカー氏が47%とウォ―ノック氏がわずかにリードした。6月の世論調査では、ウォーノック氏が10ポイントリードしていた(2022年6月30日記事参照)。

ウォーノック氏、ウォーカー氏ともに黒人で、「黒人男性有権者プロジェクト」(注4)の創始者モンデール・ロビンソン氏は、ウォーノック氏の選挙活動を評価しながらも、「ウォーノック氏が穏健派にアピールすることに集中し過ぎて、支持基盤となる有権者を引き付けていないことを心配している」と語り、黒人男性の投票率を高めることにつながっていない問題点も指摘している(「ワシントン・ポスト」電子版10月24日)。

現在の連邦上院(定数100、任期6年)の現議席数は民主党、共和党ともに50。中間選挙では定数の3分の1が改選され、今のところ、民主党13、共和党20と予想され(注1)、現有議席と合わせると民主党、共和党ともに49議席と同数になる(接戦2議席)。10月になって、「民主党やや優勢」から「民主党わずかに優勢」に変更されたアリゾナ州、ペンシルベニア州と合わせて(2022年10月31日記事参照)、上記接戦の2議席の選挙結果が注目される。

(注1)選挙情報サイトの270トゥウィンの10月27日時点の予想。サバトズ・クリスタル・ボール、クック・ポリティカル・レポート、インサイド・エレクション、スプリット・チケット、ファイブ・サーティエイト各社の総合判定に基づく。

(注2)実施時期は10月19~27日、対象者はネバダ州の投票予定者885人、ジョージア州の投票予定者604人。

(注3)実施時期は10月13~18日、対象者はジョージア州の投票予定者905人。

(注4)黒人男性の有権者としての意識を高める目的で創設した組織。

(松岡智恵子)

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