米商務省、対中半導体輸出管理のガイダンス公表

(米国、中国、日本、韓国、台湾、EU、オランダ)

ニューヨーク発

2022年11月01日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は10月28日、同月7日に公表した中国向けの先端半導体などに関する新たな輸出管理規則について、特設ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開設し、よくある質問への回答集(FAQ)のかたちで第1弾のガイダンスを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(2022年10月11日記事参照)。

特設ページには、BISが10月13日に行った説明会の要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます新規則の官報へのリンク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなど関連情報も掲載している。今後、新規則に関する情報を随時追加していく。輸出管理を管轄するアラン・エステベス商務次官は10月27日、FAQガイダンスを近く公表すると示唆していた(2022年10月31日記事参照)。ガイダンスによると、今回の新規則は暫定最終規則(IFR)の形式を取っており、12月12日まで募集しているパブリックコメントを受け、最終規則(FR)の段階で変更する可能性がある。また、パリブックコメントを通じて受け取った質問に対応するため、ガイダンスも更新・修正する。

今回のガイダンスでは、IFRを解釈する上で重要な幾つかの単語の定義が明らかになった。一例として、IFRでは、輸出管理規則(EAR)の第744条23項外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで設定した基準以上の半導体を製造する在中国の「施設(facility)」で開発または生産に使用されると認知している場合、あらゆるEAR対象製品(物品、技術、ソフトウエア)の輸出・再輸出・国内移送(輸出など)について、事前の許可申請が求められる(注1)。ここでいう「施設」とは、規制対象レベルの技術を用いて生産を行っている建物を指し、組み立てや試験、パッケージングなど後工程の技術レベルの変更がない施設は対象外としている。また、質問が特に多かったとされる「米国人(U.S. Person)」に対する許可申請の要求についても、その定義を明らかにした。これはEAR第744条6項外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで設定した基準以上の半導体に関する中国での開発または生産を支援する「米国人」による「特定の行動」を、許可申請の対象にするとした規則に関連する(注2)。実際、オランダの半導体装置メーカーのASMLは新規則を受けて、米国籍・永住権保有者や在米の従業員に対し、在中国の施設に対する関連サービスの提供を停止するよう命じている。ガイダンスによると、「米国人」には、米国籍・永住権保有者または米国法が保護する個人、米国法に基づきまたは米国の司法権が及ぶ管轄内で設立された法人(外国支所も含む)、米国にいる全て個人・法人が含まれる。また、該当する半導体を製造する在中国の施設での開発または生産のために、製品の輸送を承認、実行する米国人、およびそれら製品のメンテナンス、修理、点検、改装などに従事する米国人がIFRの対象となる。BISは説明会を行った10月13日時点で、100以上の質問を受けていたもよう。IFRに関するガイダンスは今後も更新されていくとみられる。

(注1)ただし、申請をしても「原則不許可」となる。

(注2)EARの対象製品ではなくても、基準以上の半導体の生産を可能にする場合、許可申請の対象としている。また、この規則に関する許可審査方針も「原則不許可」となるが、米国またはEARのカントリーグループ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「A:5」または「A:6」に該当する国に本拠がある企業向けに対しては、「事案ごと」の審査となる。

(磯部真一)

(米国、中国、日本、韓国、台湾、EU、オランダ)

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