米中間選挙、連邦下院選は共和党が多数派奪還、上下院で「ねじれ議会」に

(米国)

米州課

2022年11月17日

118日に投開票が行われた米国中間選挙で、共和党が連邦下院選を制したことが明らかになった。米国時間1116日(日本時間1117日)に米国主要メディアが一斉に報じた。

CNN(米国時間1116日午後11時時点)によると、全議席が改選された連邦下院(435議席、任期2年)では、共和党が218議席、民主党が210議席の獲得を確実としている。いまだ7議席の結果が未確定ながらも、共和党が過半数となる218議席を確保したことで、連邦下院多数派を奪還することが確実となった。これまでに18の選挙区で、共和党が民主党から議席を奪取する「フリップ」となった。民主党も6の選挙区で共和党からフリップしたが、選挙前に有していた220議席(注1)から議席を減らした。現在、民主党のナンシー・ペロシ氏(カリフォルニア州)が務める連邦下院議長の後任には、共和党のケビン・マッカーシー氏(カリフォルニア州)が就任する見通しだ。

共和党が連邦下院選を奪還することは、選挙前の主要世論調査などから確実視されていた。それだけに、投開票から9日が経過してようやく大勢が判明したことは、選挙前に予想されていた「共和党の波」が「さざ波」にとどまり、僅差に持ち込んだ民主党の健闘ぶりが際立ったかたちだ(2022年11月10日記事参照)。選挙情報サイト270トゥ・ウィンの選挙前日の予想で「接戦(Toss-Up)」が予想されていた9選挙区(カリフォルニア13区、コネチカット5区、イリノイ17区、ミシガン7区、ネバダ1区、ネバダ3区、ニューヨーク19区、ペンシルベニア8区、ワシントン8区)の結果は、民主党が7議席獲得・1議席リード、共和党が1議席獲得となっており、接戦選挙区の多くを民主党が制したことがうかがえる。ジョー・バイデン米大統領は1116日、連邦下院の選挙結果を受けて声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、「先週の選挙は米国の民主主義の強さと回復力を示すものだった。選挙を否定する者、政治的暴力、脅迫を強く拒絶した。米国では民意が優先される」と述べている。

なお、連邦上院(100議席、任期6年)では、民主党が50議席、共和党が49議席の獲得を確実にし、民主党が多数派を維持する見通しだ(2022年11月14日記事参照、注2)。連邦議会は、上院多数派が民主党、下院多数派が共和党の「ねじれ」議会構造となる。議会で共和党の勢力が拡大するのに伴い、議会では法案が可決される可能性が低くなることから、バイデン政権は一層、難しい政権運営のかじ取りを強いられることとなる(2022年11月8日記事参照)。

(注1)米国連邦議会(第117議会)下院の議席数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは民主党220議席、共和党213議席、欠員2議席。

(注2)連邦上院では、賛否が50票同数の場合、議長を務める副大統領の1票で採決となることから、実質的に民主党が主導権を維持する。

(葛西泰介)

(米国)

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