ポーランド初の原発建設事業、米ウェスチングハウスが受注

(ポーランド、米国、韓国)

ワルシャワ発

2022年11月10日

ポーランド政府は11月2日の閣僚理事会で、米国を戦略的なパートナーシップとして、国内初の原子力発電所を米国の原子力企業ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニー(WEC)の技術に基づいて建設するという決議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを採択した。2026年に着工、2033年までに最初の原子炉の稼働を目標とし、投資額は約200億ドルの予定(同日付政府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

各紙報道によると、ポーランド初の原発建設事業の受注を巡り、WECは韓国水力原子力(KHNP)とフランス電力(EDF)と争っていた。ロシア産エネルギーからの独立を目指すポーランドは、WECの「豊富な経験を有し、かつ安全なAP1000技術」を採用した。ポーランド側で原発建設プロジェクトを進めている国営原子力発電会社PEJ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2021年12月、建設地としてバルト海に面した北部ポモージェ県内のルビアトボ-コパリノ地区を選定した。

今回の原発建設によって、ポーランドは「2040年までのエネルギー政策(PEP2040)」(2022年4月12日記事参照)や「原子力計画(PPEJ)」の目標達成、エネルギーミックスの多様化、エネルギー価格削減などが可能となる。アンナ・モスクバ気候・環境相は「ポーランドと米国のパートナーシップは、ポーランドの主権と中・東欧全体のエネルギー安全保障の問題に対峙(たいじ)する両国の戦略的なアプローチ」と強調した。

2020年10月2日に政府が更新した「ポーランドの原子力計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2043年までに2つの地域で6~9ギガワット(GW)規模の原子炉を建設する予定。WECとの契約は1地域で約4GWの原子炉のみを対象にしていると報じられた。モスクバ気候・環境相は、第2原子力発電所建設も推進する必要があり、欧州や国際産業との協力に期待していると発言した。

なお、10月31日に韓国ソウル市では、ポーランドの国営電力公社PGEと民間発電会社ZE PAK、韓国のKHNPがARP1400型原子炉の技術を用いたポーランド第2原子力発電所建設について協力意向書(LOI)を締結した。また同日、韓国産業通商資源部とポーランド国有財産省の間で同プロジェクトに関する協定(MOU)に署名していた(2022年11月4日記事参照)。ヤツェク・サシン副首相兼国有財産相外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは10月31日、韓国とのプロジェクトは先述のPPEJ計画に基づく政府のプロジェクトではなく、民間プロジェクトとして、政府プロジェクトと並行して実施されると言及。さらに、韓国と米国の両方の実績あるパートナーとの協力を確立すると述べていた。

(ニーナ・ルッベ)

(ポーランド、米国、韓国)

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