ポーランド、ロシアのエネルギー資源からの独立を表明

(ポーランド、ウクライナ、ロシア)

ワルシャワ発

2022年04月12日

ポーランド政府は、2021年2月に策定した「2040年までのエネルギー政策(PEP2040)」(2021年2月16日記事参照)を更新する。気候・環境相による更新案が3月29日に閣内合意されたもの外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、ロシアによるウクライナへの侵攻を受け、ポーランドの長期的なエネルギー政策を見直す。早ければ2022年末までに、ロシアのエネルギー資源から完全に独立することも表明された。

更新案によると、これまでPEP2040で掲げられていた(1)公正な移行(Just Transition)の実現、(2)ゼロ・エミッションのエネルギーへの移行、(3)大気汚染の改善に加えて、第4の柱として「エネルギーの主権」が追加されている。特に、ロシアからの化石燃料の輸入からポーランド経済を速やかに独立させることが強調されており、具体的には、再生可能エネルギーのさらなる開発、原子力の導入、エネルギー効率の改善など、国内資源をベースにした技術の多様化と発電設備容量の拡大を図るとしている。また、エネルギー供給元のさらなる多様化と、石油・ガスに代わるエネルギー源の確保、および電力網とエネルギー貯蔵の強化が掲げられている。

今回の更新案は、低炭素排出に関する新たな技術の開発を進めることも目指しており、天然ガスの輸入が不透明な状況下で、石炭火力発電設備の利用増加が周期的に発生する可能性があることも指摘している。ポーランド政府は2049年までに、国内の炭鉱採掘を停止することを決定しているが、中央鉱業研究所(GIG)の予測では、2040年のポーランドのエネルギー構成は、石炭は33.3%と、ガス(20.6%)、再生可能エネルギー(40%)と並んで高い比重を占める。また、同研究所は、2040年にポーランドでは発電に約1,580万トンの無煙炭が必要と予測している(上述の「PEP2040」の予測でも約1,110万~約1,910万トン)。政府は、今回の更新案で、環境への負担を減らす石炭火力発電所の近代化やクリーン・コール・テクノロジー(CCT)の開発強化を行う方針を示している。

マテウシュ・モラビエツキ首相は3月30日の記者会見で、ロシアからのエネルギーの独立について言及し、「2010~2014年の5年間の、ポーランド市場で消費された原油の約90%はロシア産だったが、2015~2021年の7年間では、その割合は25ポイント低下した。天然ガスの輸入先も、2015年にはロシアが72%を占めていたが、2021年には57%まで縮小している」とし、傾向として、既にロシアへの依存度が下がっていることを強調した。また同首相は、ポーランド西部シフィノウイシチェ港の液化天然ガス(LNG)ターミナルや、「バルティック・パイプ・プロジェクト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(北海ガス資源をデンマーク経由で輸送)など、ガスインフラへの投資計画にも触れ、2023年からはロシアからのガス輸入を行わない方針を表明した。

(今西遼香、ニーナ・ルッベ)

(ポーランド、ウクライナ、ロシア)

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