アルジェリア、自動車製造に関する政令を公布

(アルジェリア)

パリ発

2022年11月25日

アルジェリア政府は、新車の輸入活動要件を規定する政令と同時に(2022年11月24日記事参照)、乗用車、バス、トラック、バイクなどの現地製造要件に関する22-384号政令PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を11月17日付官報で公布した。2020年の20-226号政令(2020年8月28日記事参照)に続く短期間での改定となる。今回の政令により、国内調達率、自動車輸出の義務、電気自動車製造の義務、一部工程の現地化、燃料の種類の制限などの条件が課される。主な措置は次のとおり。

  • 自動車ブランドを所有しているメーカーは単独で、もしくはアルジェリア国内か外国パートナーとの合弁会社を通して、アルジェリア法人を設立し、乗用車もしくは商用車を製造することができる(第4条)。
  • 500人以上の雇用創出、100億アルジェリア・ディナール(約100億円、1ディナール=約1.0円)以上の投資など、アルジェリア経済の構造化に貢献する投資(structuring investments、2022年10月5日記事参照)の要件を満たす必要がある(第4条)。
  • 国内調達率は最終営業認可を取得してから2年後に10%以上、3年後に20%以上、5年後に30%以上の目標値を設定する(第5条)。
  • 事前営業認可、最終営業認可の2段階から成る申請制度の導入(第6条、第11条など)。
  • 国内で調達、もしくは海外から輸入した自動車製造用部品は付加価値税(VAT)および関税の減税措置の対象となる(第17条)。
  • 以前の政令に基づいて自動車製造の営業認可を取得した事業者は、新政令および付属資料の要件を満たす必要がある(第33条)。
  • 最終営業認可を取得してから6年目以降、自動車を輸出する必要がある(付属資料第7条)。
  • アルジェリアへの技術移転および製造工程の改善に向け、研究開発拠点の設置が求められる(付属資料第10条)。
  • 製造工程に関しては、最終営業認可を取得して3年後以降、現地工場でプレス、溶接、塗装工程を実施することが義務付けられている(付属資料第11条)。
  • 乗用車の場合、ディーゼル車の製造は不可(付属資料第11条)。
  • 国内製造車種の中に、商用車を1車種以上、また、最終営業認可を取得して5年後以降は電気自動車を1車種以上含める必要がある(付属資料第11条)。

今回の措置の背景には、現地の自動車部品サプライヤーの育成に基づく、国内自動車産業の促進と保護に関する政府の方針がある、と報じられている。2022年10月にフィアット新工場建設を発表した自動車大手ステランティス(2022年10月19日記事参照)や2010年代に進出した欧米自動車メーカーが、新政令の条件にどこまで対応するか注目される。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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