米運輸省、港湾インフラ改善に約7億ドルの拠出発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月01日

米国運輸省は10月28日、米国内のサプライチェーン改善のため、港湾インフラ改善に約7億ドルを拠出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。資金は2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)による予算から拠出する。バイデン政権が2022年2月に発表したサプライチェーン強化策の中でも、港湾などの貨物輸送インフラへの投資が掲げられていた(2022年2月28日記事発表)。ロサンゼルス港など西海岸港湾の逼迫は改善しているものの、代わって東海岸港湾が混雑するなどしており(2022年10月12日記事参照)、年末商戦など今後予想される貨物量の増加への対応に備える。

今回の対象は、22州と米国領サモア地域の41のプロジェクトで、資金総額は約7億300万ドル以上に及ぶ。最も資金を受け取るのはアラスカ州で、アンカレッジ港の拡張費用約6,800万ドル、プリンス・ウィリアム・サウンド・フェリーターミナルの修繕費用約2,800万ドルなど4つのプロジェクトに約1億1,250万ドルを拠出する。また、港湾の電化などを通じて排出量を削減するプロジェクトに今回は約1億5,000万ドルを充てており、その中にはカリフォルニア州ロングビーチ港のディーゼルトラクター60台を電動トラクターに買い替える費用約3,000万ドルなどのプロジェクトがある。そのほか、洋上風力発電の推進を促進する港湾プロジェクトにも約1億ドルを拠出し、ニューヨーク州でのアーサー洋上風力発電プロジェクトへの助成約4,800万ドルや、マサチューセッツ州でのセーラム風力発電プロジェクトへの助成約3,400万ドルなどがある。

供給網逼迫状況の指標のGSCPIは9月に1.05となり、新型コロナウイルス感染拡大前の水準以下まで改善しているなど(2022年10月7日記事参照)、世界的に見れば、港湾をはじめとした供給網の逼迫は緩和傾向にある。しかし、中長期的に見れば、再び港湾の混雑が供給網のボトルネックとなる可能性もあるため、バイデン政権は港湾混雑が比較的軽微な今のうちにインフラ整備を着実に進めておきたい考えがあるとみられる。

(宮野慶太)

(米国)

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