米商務省、韓国と輸出管理協力を推進するためのワーキンググループ立ち上げ

(米国、韓国)

米州課

2022年11月14日

米国の商務省産業安全保障局(BIS)は11月8日、韓国の産業通商資源部(MOTIE)と輸出管理に関するワーキンググループを立ち上げると発表した。このワーキンググループは、5月にジョー・バイデン大統領と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が発表した、重要技術に関する輸出管理など両国間の協力関係強化を再確認した声明に基づいて設置される。両首脳は、半導体などいくつかの産業での協力を強化し、サプライチェーンや先端科学技術など経済安全保障分野の意思疎通を開始することで合意していた(2022年5月23日記事参照)。

BISの発表によると、ワーキンググループの目的は、国際的な安全保障を強化すると同時に、公平な競争条件(level-playing field)を実現しながら、両国が輸出管理での協力を進めるために検討すべき具体的な行動を特定すること、と定められている。具体的には、ジーナ・レモンド商務長官とMOTIEの李昌洋(イ・チャンヤン)長官が概要を示した作業計画(2022年5月24日記事参照)を実現することとし、以下の3点を挙げている。

  • 両国の調整機能を強化し、輸出規制が、2国間貿易の促進や先端製造業分野におけるグローバル・サプライチェーンの安定と整合的であることを確保する。
  • 新たな安全保障上の課題に対応する、収斂(しゅうれん)的な輸出管理を促進する。
  • 効果的な輸出管理の開発と実施において、利害関係者の効率的な関与と支援を確保する。

本ワーキンググループを米国側で率いることになる商務省のテア・ケンドラー次官補は「BISは、米国の安全保障を守るために輸出管理を積極的に活用することを約束する。ロシアによるウクライナ侵攻への対応でみられたように、輸出管理では多国間かつ協力的なアプローチが、最も効果的な結果をもたらすことを確信している」と述べた。

なおBISは10月に、中国の先端半導体や半導体製造装置、スーパーコンピュータなどを対象にした輸出管理規則を発表している(2022年10月11日記事2022年11月1日記事参照)。この規制は、先端半導体を製造している施設で利用される物品などの輸出や、米国人(US person)による先端半導体の生産や開発支援も規制する広範なものであり、産業界は「半導体産業で優位性を持つ同盟国と早期に多国間の輸出管理枠組みを構築しなければ、米国企業だけが損害を被る」などとして、多国間での輸出管理規則の強化を訴えていた(2022年11月7日記事参照)。商務省も同盟国を中心に、多国間での協力強化を行う意向を示しており、今回のワーキンググループで、中国に対する先端半導体などへの規制も議題の1つになるとみられる。

(赤平大寿)

(米国、韓国)

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