欧州委、COP27開催を前に新車ゼロエミッション合意などEUの貢献を強調

(EU)

ブリュッセル発

2022年11月07日

欧州委員会は11月4日、エジプトで11月6日から開催されている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)を前に、パリ協定の目標実現のための温室効果ガスのより一層の排出削減、地球温暖化の緩和に向けて、全ての条約締約国に対し踏み込んだ対応を呼びかけた(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EUでは、EU理事会(閣僚理事会)が10月24日に承認した、COP27におけるEUの交渉上の立場に基づき、欧州委が交渉に参加する(2022年10月26日記事参照)。

COP27でEUの交渉団を率いる欧州委のフランス・ティーマーマンス執行副委員長(欧州グリーン・ディール政策総括、気候変動対策担当)は「気候変動の緩和のための継続的な対策と同時に、気候変動への適応、必要な資金の動員、気候変動の影響による損失と損害への対応といった課題への取り組みを前進させなければならない」と、今回の論点をまとめた。論点の1つである気候変動への適応についてはEUとして、パリ協定で定められた「適応に関するグローバル目標」の実現に向け、2021年2月に改定した気候変動適応戦略(2021年2月25日記事参照)に基づき、域内で加盟国や地方自治体など各レベルでの適応策をとっているとした。先進国が開発途上国へ年間1,000億ドルを共同で動員する目標について、EUと加盟国は共同で、2021年単年で230億ユーロを拠出し世界で最大の貢献を果たしていると強調。気候変動への適応のための資金提供を2025年までに2019年比で先進国全体での動員を倍増させるために、他の先進国にさらなる貢献を求める意向を示した。

2035年の全新車ゼロエミッション化を代表的な成果とアピール

欧州委は、2021年11月に英国で開催されたCOP26以降のEUにおける法整備例として、2022年10月27日にEU理事会と欧州議会が2035年の全新車のゼロエミッション化を含む改正に暫定合意に達した乗用車・小型商用車(バン)の二酸化炭素(CO2)排出基準に関する規則案(2022年10月31日記事参照)や、エネルギー部門から排出されるメタンガスの削減に関する新規則案(2021年12月16日記事参照)などを挙げた。欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「気候変動は日々進行しており、EUは前週の自動車ゼロエミッション合意に代表されるように、国際合意を履行すべく前進し続ける」と述べ、乗用車・バンCO2排出基準規則案の合意を含む、EUの気候変動対応策を世界に向けてアピールした。

なおCOP26では、販売される乗用車・バンの全新車を、主要市場で2035年までに、世界全体では2040年までにゼロエミッション車とすることなどを掲げた共同声明が出され、EU加盟国では15加盟国(注)が署名している。

(注)オーストリア、ベルギー、クロアチア、キプロス、デンマーク、フィンランド、ギリシャ、アイルランド、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、スロベニア、スウェーデン。

(安田啓)

(EU)

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