バイデン米大統領、東アジア首脳会議に参加、岸田首相ら各国首脳と相次ぎ会談

(米国、日本、韓国、オーストラリア、カンボジア、ASEAN)

米州課

2022年11月14日

米国のジョー・バイデン大統領は11月13日、カンボジアの首都プノンペンで開催された第17回東アジア首脳会議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)に参加した。バイデン大統領は、ASEANを中心とするインド太平洋地域に対する米国の永続的なコミットメントを強調したほか、米中関係については、コミュニケーションラインをオープンに保ち、米中の競争が対立に傾かないようにするとの立場を強調した。また、台湾海峡の平和と安定を維持する重要性を再確認したとしている。

バイデン大統領は、東アジア首脳会議に合わせて各国首脳とも会談した。岸田文雄首相との会談(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、日米両国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増し、強固な日米関係が地域や国際社会の平和と安定に果たすべき役割は大きいとの認識を共有した上で、ロシアに対して引き続きG7をはじめとする同志国と経済制裁やウクライナ支援に取り組んでいくとした。また、グローバル・サウス(注2)への働きかけを強化していくことでも一致した。

なお、岸田首相はバイデン大統領に対し、米国のインフレ削減法(IRA)に基づく電気自動車(EV)への税額控除に対して、日本政府の考えを伝達したとしている。米財務省はEV税額に関するパブリックコメントを11月4日まで募集しており(2022年10月11日記事参照)、日本政府は、日本の自動車メーカーのEVも同等に税額控除を受けられることを求める趣旨のコメントを提出していた。

バイデン大統領は12日に首脳会議ホスト国のカンボジアのフン・セン首相と、13日には韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相と相次いで2国間会談を実施した。フン・セン首相との会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、ミャンマー情勢に対するASEANの対応や、カンボジアによる国連でのロシア非難決議への賛成に対する謝意、中国による軍事利用が懸念されるカンボジアのリアム海軍基地の透明性確保、米国・カンボジアの二重国籍を有する政治活動家の釈放などについて話し合った。尹大統領との会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、北朝鮮情勢やウクライナ情勢、両首脳インド太平洋地域全体の協力を強化することの重要性について議論したとしている。アルバニージー首相との会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、両国同盟の優先事項や両国と英国による安全保障枠組み「オーカス(AUKUS)」や、「ブルーパシフィックにおけるパートナー(PBP)」の重要性確認したとしている(2022年7月13日記事参照)。

13日には2国間会談に加えて、日米韓首脳会談も実施外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされ、安全保障分野でより緊密な日中韓の連携を構築することを確認したとしている(2022年11月14日記事参照)。さらに、バイデン大統領は、重要かつ新興技術に関する協力の強化や、重要インフラの保護、重要鉱物の強靭(きょうじん)かつ多様なサプライチェーン強化のため、ルールに基づく経済秩序を強化する3国間協力の重要性を強調したとしている。米国は10月に、中国を念頭にした半導体関連の輸出管理の強化を表明しており(2022年10月11日記事参照)、日本や韓国にも同様ルール導入を求めたものとみられる。

また、バイデン大統領は12日の米国・ASEAN首脳会議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、米国とASEANとの関係を包括的戦略パートナーシップ(CSP)へと昇格させることも発表している。

(注1)ASEANのほか、日本、米国、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド、ロシアが参加する。

(注2)いわゆる南半球の開発途上国諸国。インドネシア、ブラジル、南アフリカ共和国などはロシアに対して中立的な立場を保っている。

(葛西泰介)

(米国、日本、韓国、オーストラリア、カンボジア、ASEAN)

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