米財務省、インフレ削減法のガイダンス作成に向けパブコメ募集へ

(米国)

ニューヨーク発

2022年10月11日

米国財務省と内国歳入庁(IRS)は10月5日、2022年8月16日に成立したインフレ削減法のガイダンス(2022年末までに発表予定)作成に向け、利害関係者から広く意見を聴取するため、パブリックコメントの募集を開始すると発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2022年8月17日記事2022年10月6日付地域・分析レポート参照)。インフレ削減法(歳出総額4,370億ドル)には、気候変動対策として3,690億ドルの歳出が見込まれており、そのうち2,700億ドルはクリーンビークル〔バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)〕の生産および購入に対する税額控除を含む、両省庁管轄の税制上の優遇措置に割り当てられている。

パブリックコメントの募集は、以下6つの通知に分けて提出された。

  1. エネルギー生産に対するインセンティブPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます):再生可能エネルギーの生産、エネルギーへの投資、ゼロエミッション原子力の生産などへの税額控除に関する条項(通知番号:IRS-2022-0049)
  2. クレジットの増幅PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます):公共事業に携わる従業員の賃金、徒弟制度、国内調達割合などに関する条項(IRS-2022-51)
  3. 住宅および建物に対するインセンティブPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます):エネルギー効率の高い住宅への改良、居住用財産のエネルギー効率の改善、エネルギー効率の良い商業ビルなどへのクレジットなどに関する条項(同IRS-2022-0048)
  4. 消費者向け車両に対する税額控除PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます):新車および中古車を含むクリーンビークルの購入者への税額控除などに関する条項(IRS-2022-0046)
  5. 生産に対する税額控除PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます):先進的な生産活動やエネルギープロジェクトへの税額控除に関する条項(IRS-2022-0047)
  6. クレジットの収益化PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます):特定のクレジットの譲渡などに関する条項(IRS-2022-0050)

インフレ削減法を巡っては、クリーンビークルに対する税額控除の対象要件の達成が難しいことから、国内外の関係者から見直しを求める声が上がっている(2022年9月29日記事参照)。両省庁は、募集の詳細を記したファクトシートの中で、「規則を最終決定する前に、パブリックコメントによるフィードバックを慎重に検討していく。本日(10月5日)の通知は、関係者に対し、財務省および IRS が現在実施中の法施行に向けた広範な作業に役立つ情報を提出する機会を与えるものだ。こうした早い段階で追加の意見を得ることにより、納税者に明確かつ確実な情報提供を行うための作業を加速させることができる」と述べている。

パブリックコメントは、通知ごとに、連邦政府のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますまたは郵送で、11月4日まで受け付ける(注)。なお、パブリックコメントを作成する際は、各通知に付された上述の通知番号を入力することになる。

(注)パブリックコメントの提出は、官報が公示されて以降に可能となる見込み。

(大原典子)

(米国)

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