アルセ大統領就任2年目の総括演説、安定成長とインフレ抑制の達成強調

(ボリビア)

リマ発

2022年11月10日

ボリビアのルイス・アルセ大統領は11月8日、立法議会で就任2年目の政権運営について総括演説を行い、新型コロナウイルス禍の中でも経済の成長と安定化を達成した成果を強調した。アルセ大統領は2020年11月の就任時(2020年10月28日記事参照)に前政権が残した破綻経済からの復興を課題に掲げていた。今回の演説では、2020年のGDP成長率マイナス8.7%から、2021年には6.1%のプラス成長、2022年も第1四半期(1~3月)は前年同期比4.0%(2022年9月15日記事参照)、第2四半期(4~6月)時点で4.1%のプラス成長を達成していると述べた。また、国際的な問題となっているインフレについても、ボリビアは9月末時点の2022年累計インフレ率予想は1.76%で、中南米域内でも最も低い数値と強調した。これは現政権がジェンダー格差や経済格差、社会格差を減少させるために取り組む「生産的共同社会経済モデル(Modelo Económico Social Comunitario Productivo)」の成果と述べた。

また、大統領はさらなる成長の牽引役として公共投資の増加を挙げ、2021年のGDPに占める公共投資割合が南米で最も高い6.5%だったと発表。そのほかにも、所得再配分政策による貧困率(2020年39.0%から2021年36.3%)と極貧困率(13.7%から11.3%)の改善や法定最低賃金の値上げ〔現在は2020年から6.0%増の2,250ボリビアーノ(約4万7,250円、1ボリビアーノ=約21円)〕などを実績として並べた。

一方で、一部の専門家は今回の報告内容を「不完全」と評価している。経済アナリストのヘルマン・モリーナ氏は「エルデベル」紙に対して、低いインフレ率については固定相場制(注)に加えて、牛肉や砂糖の輸出禁止措置などを採用して国内インフレを操作していることを指摘。純外貨準備高(NIR)が2022年1月から同年9月に19.1%減少する中、2023年以降にはソブリン債の償還を控えているため、牛肉や砂糖の輸出禁止措置は得策ではないと指摘している。

(注)ボリビアの対ドル相場は1ドル=6.96ボリビアーノで固定。

(設楽隆裕)

(ボリビア)

ビジネス短信 27d0685d2c8330c3