米SLBとアイルランドのリンデ、CCUS事業で提携発表

(米国、アイルランド)

ヒューストン発

2022年11月01日

米国の石油・ガス開発大手SLBは10月31日、アイルランドの産業ガス大手リンデと、産業・エネルギー分野での脱炭素ソリューションを加速させるため、二酸化炭素(CO2)回収・有効利用・貯留(CCUS)プロジェクトに関する戦略的提携を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両社は提携の意義について、両社が有する数十年にわたるCO2回収・貯留(CCS)の知見や、革新的な技術ポートフォリオ、プロジェクト開発・実施の専門知識、設計・調達・建設(EPC)能力を組み合わせることが可能になるとしている。

提携では具体的に、水素やアンモニアの製造や天然ガス精製処理といったエネルギー分野に焦点を当てるとしており、これらの製造工程で発生するCO2について、CCUSによって大気中への排出を削減することで、新たに低炭素なエネルギーを生み出すことが可能になるとしている。なお、両社は国際エネルギー機関(IEA)の発表によるものとして、2050年までにネットゼロを達成するためには、CCUSによって年間6ギガトン(Gt)以上のCO2削減が必要としており、ネットゼロに向けたCCUSの重要性を強調している。

SLBのオリビエ・ル・プーチ最高経営責任者(CEO)は「CCUSは、エネルギー需要と気候変動のバランスを取るために、地球が必要とする脱炭素エネルギーシステム構築に不可欠な技術だ」「われわれは、リンデと協力してCCUSプロジェクトを開発し、従来のエネルギーから低炭素なエネルギーを増やしていく支援ができることをうれしく思う」と述べた。

なお、SLBはエネルギー革新に注力するグローバルテクノロジー企業へのイメージ刷新を図るため、10月24日に旧社名のシュルンベルジェからSLBに社名を変更した(2022年10月25日記事参照)。SLBの脱炭素化に向けた取り組みとして、6月に米国のハイゾン・モーターズと水素燃料電池活用での連携(2022年6月28日記事参照)を発表しているほか、9月に脱炭素化に向けたデジタル・プラットフォーム・パートナー・プログラムの開始を発表している(2022年9月21日記事参照)。また、9月にサウジアラムコと脱炭素化のデジタルソリューションでの協業(2022年9月27日記事参照)、10月には米国RTIと革新的なCO2回収技術で提携(2022年10月18日記事参照)をそれぞれ発表している。

(沖本憲司)

(米国、アイルランド)

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