パナソニックエナジー、EV電池リサイクルのレッドウッドからバッテリー材を調達

(米国、日本)

ニューヨーク発

2022年11月16日

パナソニックエナジーは1115日、2025 年に操業開始予定の米国カンザス州デソト工場での電気自動車(EV)用バッテリーセル生産のため(2022年11月2日記事参照)、バッテリーのリサイクルなどを行う米国レッドウッド・マテリアルズ(本社ネバダ州カーソン市、注1)との間で、リチウムイオン電池の正極材と、銅箔(どうはく)の調達契約に合意したことを発表した。

20228月に成立したインフレ削減法では、クリーンビークル(注2)の購入にあたり税額控除を受けることができるが(2022年8月18日記事参照)、2023年以降、車両に搭載されるバッテリー材(リサイクル材を含む)の調達先が限定されており(2022年8月4日記事参照)、バッテリーメーカーなど生産者は、米国を中心とした調達先の確保などの対応に追われている。パナソニックエナジーは今回の合意で、北米での現地調達を増やしながら、2030 年までに二酸化炭素の排出量を2021年比で半減するという同社目標の達成を目指す。同社代表取締役社長の只信一生(ただのぶ かずお)氏は「限られた資源を有効活用するには、リサイクルとサプライチェーンの現地化が不可欠」「レッドウッドとのパートナーシップにより、高品質の自動車用バッテリーにリサイクル素材を使用し、循環経済に貢献できるようになる」と述べた。

レッドウッドは、今後数年間で数十億ドル規模の投資による技術開発および施設の拡張を行う予定で(2022年8月2日記事参照)、2025年までに100万台分のEV用正極材、さらに2030 年までに負極材も合わせ500万台分のバッテリー材の生産する計画だ。同社は2019年から、ネバダ州にあるパナソニックエナジーとテスラの合弁会社である、ギガファクトリーから排出されるスクラップ品のリサイクルを行ってきた。同社のJ.B.ストローベル最高経営責任者(CEO)は「インフレ削減法は、バッテリーサプライチェーンの移行を加速させた」とし、同社が北米における正極材の大規模な生産者として最初の企業になると述べている(ロイター1115日)。

(注1EVメーカーのテスラの共同設立者兼元最高技術責任者(CT0)の、J.B.ストローベル氏が2017年に創設し、最高経営責任者(CEO)に就任。EV用で主流のリチウムイオンバッテリー材の収集、改修、再生、リサイクル、精製などを行う。

(注2)インフレ削減法のクリーンビークルは、バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)を指す(2022年10月27日記事参照)。

(大原典子)

(米国、日本)

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