トラス首相、法人税の増税中止の撤回と財務相交代を発表

(英国)

ロンドン発

2022年10月17日

英国のエリザベス・トラス首相は10月14日に記者会見を行い、法人税増税の中止の撤回と、クワシ・クワルテング財務相の解任を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

トラス首相は記者会見で、就任当初に掲げた低税率、高賃金、高成長の経済を実現するという使命は変わらないとしつつも、「今すぐ行動を起こし、財政規律を保ち、市場を安心させる必要がある」と述べ、ジョンソン前政権が計画していたとおり、2023年4月以降、法人税率を19%から25%へ引き上げるとした。これにより、年間180億ポンド(約3兆60億円、1ポンド=約167円)の税収増加となるとしている。法人税の増税中止については、9月23日に発表した経済対策「成長計画」に盛り込んでいた(2022年9月26日記事参照)。

クワルテング財務相の解任については「彼を失うことは非常に残念だ。彼は偉大な友人であり、この国を成長軌道に乗せるという私のビジョンに共感している」と述べた。クワルテング氏は14日、自身のツイッターにトラス首相宛ての書簡を掲載し、首相から退任を求められて受諾したことを明らかにしていた。記者会見後には、クワルテング氏の書簡とトラス首相の返信が首相官邸ホームページに掲載外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。

クワルテング財務の後任には、ジェレミー・ハント氏が就任することが発表された。トラス首相はハント氏について「最も経験豊富で、広く尊敬されている閣僚、国会議員の1人」で、「わが国に対する私の信念と野心を共有している」と紹介した。ハント氏は10月末に中期財政計画を発表する予定。

併せて、クリス・フィルプ財務首席政務次官も退任し、後任にはエドワード・アーガー氏が就任外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますすることも明らかになった。

(菅野真)

(英国)

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