第3四半期の米新車販売、毎月約110万台で推移し前年同期と同水準まで回復

(米国)

ニューヨーク発

2022年10月07日

モーターインテリジェンスの発表(10月3日)によると、米国の2022年第3四半期(7~9月)の新車販売台数は、前年同期比横ばいの341万8,280台となった(添付資料表1参照)。今回の結果に関し、自動車関連サービス企業のコックスオートモーティブのシニアエコノミストであるチャーリー・チェスブロー氏は「新車販売台数は、毎月約110万台となり、第3四半期を通して非常に安定的に推移している。新車の在庫は堅調に推移し、納車日数は40日近くに達している」「この供給不足は、在庫の回復を待ち望む人々の需要の先食いを生んでいる」とのコメントを発表した。一方で、同氏は今後の見通しについて「金利の上昇による最近の経済見通しの変化は、需要をそぎ始めており、新車を待つ人々の列は大幅に短くなってきているようだ」と述べている。新車需要の減少に加え、第4四半期に目立った在庫改善の見込みがないことから、同社は2022年の年間予測販売台数を、6月時点の1,440万台から1,370万台に下方修正した(2022年7月8日記事参照)。

日系メーカーは軒並み減少

部門別にみると、乗用車が前年同期比7.6%減の72万5,123台、小型トラックが 2.2%増の269万3,157台となった。小型トラックの中では、ピックアップトラックとスポーツ用多目的車(SUV)がそれぞれ5.9%増、1.6%増となった。

主要メーカー別にみると、ゼネラルモーターズ(GM)は前年同期比24.6%増の55万1,976台と大幅に伸びた(添付資料表2参照)。乗用車「マリブ」やSUV「トラバース」「エクイノックス」などが押し上げた。次いで、トヨタは7.1%減の52万6,020台となった。SUV「ハイランダー」「ベンザ」やミニバン「シエナ」などが減少した。フォードは16.0%増の46万1,424台と2桁増になった。SUV「ブロンコ」「エクスプローラー」、ピックアップトラック「マーベリック」などが好調だった。ステランティスが6.2%減の38万7,297台、ホンダが35.8%減の22万2,050台、現代が3.2%増の19万9,643台、起亜が4.4%増の18万4,808台で続いている。また、日産が22.6%減の15万4,086台、フォルクスワーゲン(VW)が14.7%増の13万9,847台、スバルが3.0%減の13万7,320台となった。日産は乗用車「セントラ」、スバルはSUV「フォレスター」などの減少が押し下げ要因となった。電気自動車(EV)メーカーのテスラは42.9%増の13万1,024台と大幅な伸びを示した。

バッテリー式EV(BEV)は6割増

新車販売台数のうち、ハイブリッド車(HEV)、バッテリー式EV(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)を合わせた電動車両は前年同期比10.0%増の39万3,903台で、全車に占める割合は1.1%ポイント増の11.5%となった。このうちHEVを除いたBEV、PHEV、FCVの合計販売台数は41.8%増の22万435台(シェア:6.4%)となり、BEVのみでは57.3%増の19万5,161台(5.7%)となった。なお、9月末時点で販売されているBEVのモデル数をメーカー別にみると、VW(アウディ、ポルシェを含む)が9モデル、現代(ジェネシスを含む)とBMWが5モデル、テスラとGMが4モデル、フォード、起亜、リビアンが3モデルの順となっている(添付資料表3参照)。2022年1~9月の合計販売台数では、テスラが全BEVの約7割を占める39万814台と、依然としてBEV市場を牽引している。

(大原典子)

(米国)

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