カナダ政府、ハリケーン・フィオナ復興基金に3億Cドル投入へ

(カナダ)

トロント発

2022年10月06日

カナダのジャスティン・トルドー首相は10月4日、「ハリケーン・フィオナ復興基金」の創設を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同基金では、カナダ大西洋岸州とケベック州東部でのハリケーンによる被災者支援や長期的な復興に向けて、すでに他枠組みで予定している支援(後述)に加え、向こう2年間で最大3億カナダ・ドル(約318億円、Cドル、1Cドル=約106円)を投じる予定という。

カナダでは、9月24日にハリケーン「フィオナ」が大西洋岸州やケベック州東部に上陸し、甚大な被害をもたらした。被害総額はまだ明らかになっていないものの、格付け会社DBRSモーニングスターの保険部門責任者マルコス・アルバレス氏によると、保険請求による推定損失額は3億~7億Cドルに及ぶ可能性があるという。カナダ大西洋岸で発生したハリケーンまたは風災のうち、これまで保険損害額が最も高かったのは2003年のハリケーン「フアン」で、1億9,200万Cドルに上った(「グローブ・アンド・メール」紙9月26日)。

カナダ政府は、災害対策として州政府と「災害時資金援助取り決め制度」(以下、DFAA)を運用しており、各州で災害時に発生した輸送、緊急食料、避難所の提供、保険対象外の住居や物品の修復・交換などの支出対象費用の最大90%を負担することになっている。今回の新基金は、こうした既存制度では負担できない費用の支援を目的としたもので、被災地域や企業の迅速な再建・回復、将来的な被害にも耐えうる漁港や小型船用港湾などのインフラ修復・再建などに資金が充当される。

トルドー首相は、政府はハリケーン「フィオナ」の余波に耐えている全てのカナダ国民に思いを寄せているとして、「これから数日間、数カ月間、片付けと再建のためにやるべきことはたくさんあるが、カナダ大西洋岸やケベック州の住民は、これからもお互いに支え合っていくだろうし、カナダ政府もそうするつもりだ。本日発表の新基金は、復興に向けて地域社会や人々が前進することを支援する」と述べた。同首相は、安倍晋三元首相の国葬参列や岸田文雄首相との会談のため訪日する予定(2022年9月22日記事参照)だったが、9月25日にハリケーン対応で急きょ訪日の見送りを発表していた(2022年9月26日記事参照)。

ハリケーン上陸から10日が経過した10月4日現在、プリンス・エドワード・アイランド州では約1万3,000世帯(CBCニュース10月4日)、ノバスコシア州では1万2,000世帯以上(「グローブ・アンド・メール」紙10月4日)の停電が続いており、復旧作業が続けられている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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