世界銀行、バングラデシュの2023年度経済成長率予測を6.1%に下方修正
(バングラデシュ)
ダッカ発
2022年10月19日
世界銀行は「南アジア経済フォーカス」を10月6日に発表し、バングラデシュの2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)の経済成長率について、2022年6月に発表した「世界経済見通し」予想の6.7%(2022年6月17日記事参照)から6.1%に下方修正した。アジア開発銀行(ADB)も9月に、2023年度の経済成長率予測を7.1%から6.6%に下方修正したばかりだ(2022年9月30日記事参照)。世界銀行は2022年度の同7.2%(推計値)から低下する要因として、輸入の抑制措置(2022年7月19日記事参照)による経済活動の低迷や、エネルギー価格をはじめとするインフレ率の上昇(2022年9月22日記事参照)による個人消費や投資への影響を挙げている。
輸出の大半を占める既製服の主要輸出先である欧米の経済状況が悪化し、バングラデシュ国内の計画停電、ガスの調達コストや利用料の上昇が製造業の生産コストを引き上げることで、輸出の伸びは前年度の31.3%から12.9%に鈍化すると予想している。
物価上昇率については、2022年度の6.1%に対し、2023年度はさらに加速し、8.0%と予測している。
一方で、経常収支の赤字は、中東の旺盛な労働需要を背景とした外国出稼ぎ労働者からの送金の増加に支えられ、緩やかに減少していくと予測している。
世界銀行は同様に、インド、パキスタン、スリランカ、モルディブの2022/2023年度(注)の経済成長率の見通しも引き下げた。インドは0.1ポイント減の6.5%、パキスタン2.0ポイント減の2.0%、スリランカ0.5ポイント減のマイナス4.2%、モルディブ2.0ポイント減の8.2%とし、バングラデシュの経済成長見通し(6.1%)はモルディブ、インドに次ぐ3番目の水準となった。
(注)各国の年度は以下のとおり。インド(2022年4月~2023年3月)、バングラデシュ、ブータン、パキスタン(2022年7月~2023年6月)、ネパール(2022年7月中旬~2023年7月中旬)
(薄木裕也、山田和則、安藤裕二)
(バングラデシュ)
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